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マンション発売戸数ランキング
財閥系が上位を占める中で独立系も1社ランクイン【上位5社比較】

不動産経済研究所が発表している「全国マンション市場動向」。その中の発売戸数ランキングの上位5社の特徴、主軸のマンションブランド、トピックスを徹底比較。財閥系と独立系、それぞれの不動産会社が持つ強みとは?

分譲マンションの全国ランキング上位5社はいずれも東証一部上場関連

まずは、上位5社の顔ぶれと全国での発売戸数を確認してみましょう。

1位:住友不動産 7377戸
2位:プレサンスコ一ポレーション 5267戸
3位:野村不動産 5224戸
4位:三菱地所レジデンス 3614戸
5位:三井不動産レジデンシャル 3198戸
※出典:不動産経済研究所「全国マンション市場動向 2018年のまとめ」

マンションの開発・販売をするには豊富な資金力が必要ということもあり、いずれの会社も東証一部上場(または東証一部上場のグループ会社)の企業です。では、各社の特徴を見ていきます。

マンション発売戸数1位:住友不動産

●特徴:とくに首都圏のマンション供給で強みを持つ

住友不動産は、全国に加えて「首都圏のマンション供給戸数」でも5年連続1位の総合不動産会社。首都圏で強固な営業力を誇り、東京のオフィス棟数の分野でも1位のポジションにあります。加えて、住友不動産は戸建リフォームの分野でも強く、同社のブランド「新築そっくりさん」は一般に広く浸透しています。この他、同社の注文住宅ブランドには「J・URBAN」もあります。
※不動産経済研究所(平成26年~30年)および住友不動産調べ

●主なマンションブランド:タワマンの「シティタワーシリーズ」が人気

住友不動産の主軸となるのは“シティ”を冠したマンションブランド。グッドデザイン賞を受賞した「シティテラス吉祥寺南」をはじめ、注目度の高かったタワーマンションの「シティタワー武蔵小杉」や「シティタワー梅田東」なども手がけてきました。

●最近の話題:東京五輪に向けて首都圏のホテル開発を加速

首都圏の数々の巨大プロジェクトに参画する住友不動産ですが、東京五輪を見据えたホテル開発を加速させています。同社が展開する「ヴィラフォンテーヌ」ブランドのホテルを2020年4月に東京湾岸エリア、同年6月には有明エリアにオープン。とくに東京湾岸エリアのホテルは1717室という大規模な計画で話題を集めています。

マンション発売戸数2位:プレサンスコーポレーション

●特徴:近畿・東海・中京の3エリアで圧倒的なシェア1位

プレサンスコーポレーションは、2019年3月期決算において、売上・利益ともに“9期連続で過去最高を更新”するなど勢いのあるマンションデベロッパーです。全国の分譲マンション供給戸数では、2016年が4位、2017年が2位とポジションを上げてきています。

前出の住友不動産が首都圏を得意とするのに対し、プレサンスコーポレーションが強いのは近畿・東海・中京です。これら3エリアで圧倒的なシェアを誇り、首位に立っています。シェア率は約20%(2018年度)で2位以下を大きく引き離しています。

近畿圏の分譲マンション供給戸数(2018年度)

  • 1位:プレサンスコーポレーション 4133戸
  • 2位:日本エスリード  2401戸
  • 3位:日商エステム  1053戸
  • 4位:阪急阪神不動産 966戸
  • 5位:近鉄不動産  734戸

東海・中京の分譲マンション供給戸数(2018年度)

  • 1位:プレサンスコーポレーション 1019戸
  • 2位:野村不動産 425戸
  • 3位:大京 270戸
  • 4位:静岡鉄道 253戸
  • 5位:タカラレーベン 228戸

※不動産経済研究所の資料に基づきプレサンスコーポレーションが算出・作成

東京での開発実績もありますが(931戸)、プレサンスコーポレーションの生命線は、やはり近畿・東海・中京エリアでしょう。同社のエリア特化の強みについて、日本経済新聞(2018年12月21日付)は「プレサンスの強みは『地の利』がある大阪で販売実績を着実に積みあげてきた結果、金融機関から物件取得に必要な融資を受けやすい点だ」と分析しています。

現在のプレサンスコーポレーションは、住居用マンション(主にファミリー向け)、投資用マンション(単身者向け)の両軸で展開しています。もともと同社は、投資用マンションから事業をスタートした経緯もあり、現在でも投資用物件の開発・販売に力を入れています。同社の投資マンションの顧客は、ビジネスパーソンが中心。財閥系不動産会社の投資コンサル部門は富裕層が対象でこの点は大きな違いです。

●主なマンションブランド:駅近にこだわった「プレサンス ロジェ」が人気

プレサンスコーポレーションではいくつかのマンションブランドを展開していますが、同社を象徴するのは以下の3つでしょう。

  • プレサンス ロジェ……「都心×ネームバリュー×駅近」をテーマにした好立地にこだわったファミリーマンション
  • プレサンス レジェンド……永年にわたる資産性を重視した最高峰ブランド
  • プレサンス タワー……コンシェルジュカウンターが設けられた格調高い住空間

シェアを急速に伸ばしてきた独立系のマンションデベロッパーとして、ブランディングの本格化はこれから取り組むべき課題のひとつといえるでしょう。

●最近の話題:不動産業界の常識にこだわらない新規アイデア

プレサンスコーポレーションが開発した大阪市・新今宮駅前の民泊専用施設(2019年11月開業予定)がメディアで大きく取り上げられました。通常の宿泊施設と異なるのは、供給過剰や災害によって民泊のニーズが減ってきたときに、用途をマンションに変更できる点。まさにマンションデベロッパーならではのアイデアといえます。

マンション発売戸数3位:野村不動産

●特徴:実物不動産からファンド運用まで幅広く展開

野村不動産が属する野村不動産ホールディングスは、分譲マンションを主軸とする住宅事業を中心に、オフィスビルや商業施設などを開発する総合不動産会社です。投資用不動産の開発・販売も得意分野。さらに、実物不動産の取り扱いに加えて、REIT(不動産投資信託)や私募ファンド(不動産証券化商品)などの運用も行っています。

●主なマンションブランド:住みたいマンションで1位の「プラウド」

野村不動産が主軸にする「プラウド」は、住居用マンションでもっとも人気があるマンションブランドです。マイボイスコムの「マンションのブランドに関するアンケート調査」(2019年5月実施)の住みたいマンションの項目で「プラウド」は1位になっています。

「プラウド」が人気の理由としては、2002年のブランド誕生という長い歴史があり、広告による露出に力を入れてきた成果も大きいでしょう。デザイン性と機能性の両立を重視したコンセプトも支持される要因と考えられます。

●最近の話題:ニーズの変化に合わせて小規模オフィスを展開

野村不動産は、新しいオフィスビルブランド「エイチワンオー」を2019年11月からスタートさせました。従業員10名未満の小規模事業者向けに個室型オフィスを提供。シェアオフィスと一般オフィスの中間にある小規模オフィスニーズを狙います。

マンション発売戸数4位:三菱地所レジデンス

●特徴:東京都心の中でも「丸の内の賃貸ビル」で圧倒的シェア

“丸の内の大家さん”といわれる東京都心部での賃貸ビル事業がメインの三菱地所グループ。その不動産販売事業(企画開発・販売)を担うのが三菱地所レジデンスです。この他、グループでは、海外事業、ホテル事業、空港事業などを手広く展開しています。

●主なマンションブランド:グッドデザイン賞の常連「ザ・パークハウス」

三菱地所レジデンスの分譲マンションを象徴するブランドが「ザ・パークハウス」。三菱地所グループの住宅事業は、16年連続グッドデザイン賞を受賞していることからもわかる通り、デザイン性へのこだわりが大きな特徴です。

●最近の話題:「防災=三菱地所レジデンス」のイメージを浸透

三菱地所レジデンスは、防災に力を入れていることでも知られます。その一環が2019年3月10日、千葉県習志野市「奏の杜(かなでのもり)」エリアで行われた防災訓練。同業他社が分譲・管理しているマンションを含む約 2300 世帯、戸建て約 100 戸を対象に大規模に行われたことで話題になりました。

マンション発売戸数5位:三井不動産レジデンシャル

●特徴:半世紀にわたって日本の高層建築をリード

三井不動産グループは、総合不動産デベロッパー最大手。1960年代に「霞が関ビルディング」を開発するなど、日本の高層建築をリードしてきた老舗です。賃貸(オフィス、商業)、分譲(住宅、投資家向け)、マネジメント(プロパティ、仲介)の3事業が柱。三井ショッピングパーク、三井アウトレットパーク、三井ガーデンホテルなども展開しています。海外での営業活動に積極的なことでも知られています。

●主なマンションブランド:顧客が求める要素をバランスよく追求「パークホームズ」

三井不動産レジデンシャルが主軸にするマンションブランドが「パークホームズ」。充実した基本性能・耐震性・長寿命化など、顧客が求める要素をバランスよく追求したシリーズになっています。

●最近の話題:共用部で生鮮食品を受け取れる「クックパッドマート」と提携

三井不動産レジデンシャルは、2019年10月にクックパッドがスタートしたマンションの共用部で生鮮食品が受け取れるサービス「クックパッドマート」の初提携先となったことで話題になりました。「パークホームズ豊洲ザレジデンス」の共用部に冷蔵できる専用ボックスを設置。スマホ(QRコード)で解錠できる仕組みです。

上位5社のうち4社を財閥系の不動産会社が占める

上位5社を比較してわかることは、マンション販売の世界では圧倒的に財閥系が強いということです。独立系は2位のプレサンスコーポレーションしかありません。財閥系とは、明治時代から昭和初期にかけて経済界で大きな影響力を持った、同族を主体にした企業集団。戦後、財閥は解体されましたが、その流れをくむ企業群が今でも経済界で影響力を誇ります。

●地域特化型のプレサンスコーポレーションが善戦

不動産業界は財閥系企業の影響力が大きい分野のひとつです。その中で、独立系のプレサンスコーポレーションが上位にくいこめているのは、近畿・東海・中京エリアで高いシェアを確保しているからでしょう。たとえば、全国ランキング上位5社における近畿圏でのマンション発売戸数を見ると、プレサンスコーポレーションが他社を大きく引き離しています。これがプレサンスコーポレーションを総合順位で上位に押し上げている要因のひとつといえます。

  • 【独立系】プレサンスコ一ポレーション 4133戸
  • 【財閥系】野村不動産 703戸
  • 【財閥系】住友不動産 589戸
  • 【財閥系】三菱地所レジデンス 436戸
  • 【財閥系】三井不動産レジデンシャル 215戸

※出典:不動産経済研究所「全国マンション市場動向 2018年のまとめ」

●財閥系は知名度で優位、独立系は顧客ニーズへの対応がカギ

財閥系の不動産会社は、積極的な広告展開などによってブランド認知度を高め、大手企業であることの安心感なども相まって消費者からの信頼感を得ています。たとえば前出の「マンションのブランドに関するアンケート調査」によれば、マンションの認知度が高いのは「ライオンズマンション」「プラウド」「ザ・パークハウス」などとなっています。また住んでみたいマンションブランドも同様の結果になっており、いずれも財閥系企業や老舗の大手企業が展開するマンションに人気が集まっています。

一方、同調査の別の質問によると、マンション購入経験者・意向者がもっとも重視する項目は「最寄駅からの距離(選択率68.4%)」です。知名度にやや劣るプレサンスコーポレーションは「徹底的な好立地へのこだわり」を追求し、それが奏功しているともいえます。同社では、開発物件の立地をワンルームマンションなら人気駅・利便性の高い駅から徒歩5分圏内、ファミリーマンションなら徒歩10分圏内を原則にしています。このスタンスが、「駅近」を求める顧客ニーズと合致しているといえます。

また不動産会社の中には、代理店をはさまない“直販方式”を採用している企業もあります。こうすることで中間マージンをカットして最終的な販売価格を抑え、「適正価格での販売」が顧客獲得につながっているケースもあります。

購入物件のエリアに注目して不動産会社を選ぶのが賢明

住居用、投資用いずれにせよ、高額商品のマンションを購入するときは不動産会社(デベロッパー)の規模感や信頼性も重要です。

なぜなら、将来売却するときに大手企業のマンションの方が買主に安心感を提示できるからです。その意味では、上位5社はいずれも東証一部企業(または東証一部上場のグループ会社)のため安心感があります。

さらに、「上位5社のうちどこの不動産会社を選ぶか?」という視点になったときに重要なのは、購入物件が所在するエリアでしょう。そのエリアに強い不動産会社を選ぶと選択肢が豊富ですし、管理面やサポート面で充実している可能性が高いです。

首都圏のマンションを選ぶときは全国区の財閥系を、近畿・東海・中京エリアでは独立系のプレサンスコーポレーションを候補に入れるとより選択肢が広がるでしょう。


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