リニア中央新幹線の開業による効果は、短い時間で移動できるようになることにとどまりません。重要なのは、開業によって「スーパー・メガリージョン(超巨大経済圏)」が誕生し、莫大な経済効果が生まれることです。その詳細を解説します。
リニア中央新幹線の投資額は東京五輪の約7倍
リニア中央新幹線は工事費9兆3,000億円(東京都・大阪市間)のプロジェクトです。東京五輪が投資額1兆3,500億円のプロジェクト(第3版)であることを考えると、途方もない巨額プロジェクトです。通常の鉄道は、車輪とレールの摩擦を使って走りますが、速度が速くなると車輪が空転してしまうことから速度向上にはある程度限界がありました。
そこで登場したのが磁石の力を使って車輪を浮かせて走るリニア中央新幹線です。現在の走行中の新幹線で最も速いN700A(時速285キロメートル)ですら、東京(品川)から大阪間を約2時間22分要します。リニア中央新幹線は時速500キロメートルと2倍近くの速さを誇り、2027年に東京(品川)~名古屋間を約40分、2037年にさらに延伸して東京-大阪間を約67分で結びます。
リニア中央新幹線は、ただ単に速く移動できるというだけではありません。東海道新幹線の経年劣化が進んでおり、南海トラフ大地震などの大規模災害などで長期間不通になった場合にはリニア中央新幹線のサポートが期待できます。しかし、2019年7月段階でリニア南アルプストンネルの静岡工区は、大井川の流量減少問題を巡る地元協議が難航していることが原因で本格着工が止まっています。
東京(品川)から名古屋間の開業は2027年を予定していますが、間に合わない可能性が浮上していることが懸念材料といえるでしょう。
リニア中央新幹線の開業で「スーパー・メガリージョン」誕生
リニア中央新幹線は、航空機よりも輸送人数が多いだけでなく定時制という点でも優れています。また、リニア中央新幹線の完成によって東京・名古屋・大阪という日本の3大主要都市を約1時間で移動することが可能です。首都圏・中部圏・近畿圏の一体化で、経済規模350兆円・約7,000万人の「スーパー・メガリージョン(超巨大経済圏)」が誕生します。
この超巨大経済圏の規模は、イギリスやフランスなどの先進国を上回るほどです。近年は、広州、香港、深?などから成る中国の珠江デルタ、ボストン、ニューヨーク、ワシントンなどから成るアメリカ東海岸、さらにはインドのデリー・ムンバイ周辺といった超巨大経済圏が競争する時代に突入しています。
3大都市圏から2時間で移動できる範囲は、首都圏・山梨県・中部5県・近畿圏・岡山県とこれまでよりも広くなります。リニア中央新幹線の開業で、ヒト・モノ・カネの移動がより活発になるため、さらに投資と人を呼ぶ効果が期待できます。リニア中央新幹線がもたらす経済効果はかなり大きなものといえるでしょう。
1年あたりの東海3県の経済効果は約 800億円(名古屋開業時)
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算では、品川から名古屋間のリニア中央新幹線の開業によって期待される経済効果は、約10兆7,000億円と推計。(50年間の総計)うち東海3県は約2兆円、1年あたり約800億円を見込んでいます。また、新大阪まで延伸した場合の経済効果は約16兆8,000億円と推計。(50年間の総計)うち東海3県は約3兆円、1年あたり約1,200億円を見込んでいます。
ここで見てきたようにリニア中央新幹線の開業によって日本の国際競争力が増し、経済が活性化することが期待できるでしょう。あわせて「世界でも最先端の交通技術を実用化した」ということで、リニア新幹線が輸出産業として発展することも考えられます。さらにリニア新幹線に乗ってみたいと世界中の人々が集まることでインバウンド・マーケットにもプラスになりそうです。
未来の日本の成長エンジンであるリニア中央新幹線。静岡の皆さんの不安解消を果たし、開発工事が軌道にのることを期待します。
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