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FP黒松雄平氏「もう年金はあてにできない。長期的なインフレの中で目減りする年金」 超インフレ時代を不動産投資で生き抜く(中篇)

急速に進むインフレの影響で、現金などの価値が減ることに警鐘を鳴らすFPの黒松雄平氏。ここでは、インフレによって年金の価値が相対的に減っていく流れを紹介。「24万7,000円の年金が支給される場合、その時の現役世代の手取り月収は52万円が前提……」というくだりは衝撃的です。

※本記事は2019年6月9日に開催された「名古屋 日本経済の未来と不動産投資」イベントの黒松雄平氏の講演のダイジェスト版です。

日本の年金はインフレを反映しなくてよいシステムになった

年金不安を解消するのは簡単で、そもそも年金をあてにしなければいい。あてにするから心配になるわけで、「年金は将来もらえたらいいな」くらいに思えばいいんです。

乱暴な話かもしれませんが、私がそう主張するのには理由があります。実は、日本の年金システムは2005年の段階で物価連動が廃止になったんです。つまり、インフレがこの先どれだけ進もうが、物価上昇を年金システムに反映する必要はないんです。だから、もうあてにできない。

では今はどういったシステムになっているかというと、日本のさまざまな要素と連動するマクロ経済スライド方式に移行しています。少子高齢化が進む、人口がどんどん減っていく、働き手も減っていく……こういったことを全部踏まえて設定しましょうということですね。

そういう状況の中で、2013年以降に60歳になる方は支給開始年齢が引き上げになった。すでに、もともと60歳でもらっていたものを65歳まで伸ばしたのに、それをさらに上げていく案もあるんですね。早い話がさらに年金を減らそうとしているんです。

約24万円の年金を支給する前提は、現役世代の月収が52万円

年金に関しては5年に1回、厚生労働省年金局が「財政検証結果レポート」を発表しています。その年金局が2014年に発表した内容を見ていきたいと思います。

ちなみに、5年ごとの発表なので、本来は今年(2019年)の6月に新たな財政検証結果レポートが発表される予定でした。しかし「老後2,000万円不足問題」が世間で炎上している影響なのか、一旦先送りになっています。

そのため、今回は2014年に発表された内容をもとにお話していきます。このレポートの中で特に注目したいポイントは「給付の抑制について」です。これは、年金給付額を毎年1%ずつカットするという内容です。

そして、このレポートには、AからHの8パターンのシミュレーションが示されています。その中で一番ましなパターンが、65歳の人が20年後には30%カットされるものです。皆さん、これを見て、「65歳の人は大変だな」なんて言っている場合じゃないですからね。今の現役世代が高齢者になった時は、これくらいのレベルでは済まない。

このレポート内には、当時35歳の方のシミュレーションもあります。これは、ちょうど私の年齢です。私は1979年生まれで、今年で40歳になります。今から30年後、私が70歳になった時、妻と合わせて24万7千円の年金が支給される場合、その時の一般的な現役世代の手取り月収が52万円になっていることが前提というんです。そこまでのインフレが起きていれば、相対的に価値の下がった24万7,000円を年金として払ってもいいですよ、ということです。

もちろん、レポート内では「インフレ」という表現は使いません。「この国が経済成長を果たしたら」というような表現をするわけです。

皆さん、こういった年金局が言っていることを理解したうえで年金を払っているでしょうか。大丈夫でしょうか。このような内容を見ると、年金だけで将来暮らすなんてもう無理だ……ということが分かります。

上がり続ける年金料率 実質手取りが減っていることになる

次に問題になってくるのが年金の保険料です。厚生年金の保険料は、2014年の段階のもともとの料率が13.58%でした。皆さん、給与明細の厚生年金の保険料を見て「高いな」と感じているかもしれません。しかし、本人負担分は保険料の半分です。それと同額の保険料を会社が負担してくれています。

この料率を、毎年0.354%ずつ上げていきましょうということになり、最終的に2017年に18.3%まで上げれば、安心して皆さんに年金を払えるようになりますという前提で数値改定が行われました。

それで毎年段階的に料率を上げ続けて、2014年に引かれていた6.8%が2017年には9.15%になりました。料率でいうと35%上がっていることになります。それまで厚生年金で1万円引かれていた方は、2017年に13,500円に上がっているわけで、実質手取り収入が減っていることになるんです。

この国はこの20年間賃金が上がらなかったわけですから、ずっと同じ働き方をしているのに、事実上給料は減り続けてきたんです。そして、ここまで料率を上がれば年金は安心できると国が言ってきたのに、「やっぱり無理でした」となれば、「どういうことやねん」と大騒ぎになるのは当然です。

実際近いうちに年金の支給開始年齢が68歳になるかどうかは別として、やはり年金に頼った人生設計は非常に難しくなっているというのは間違いありません。同時に、この国は依然インフレ政策を続けていますので、お金の価値もどんどん減っていく。インフレリスクに対応できるようなポートフォリオを組むことを本気で組むべきでしょう。

※本記事は2019年6月9日に開催された「名古屋 日本経済の未来と不動産投資」イベントのダイジェスト版です。
 

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