大都市の新築ワンルームにおける返済を含めたキャッシュフローは、賃貸期間を通じてマイナスの傾向にあり、「最後のリセールでキャッシュフローをプラスに乗せること」が戦略シナリオの一つとなります。しかし、キャッシュフローを大括りに捉えているだけでは、戦略を具体的なアクションに落とし込むのは難しいかもしれません。
そこで、今回は3ステップ式キャッシュフローを紹介します。このツールを上手に駆使すれば、賃貸経営をよりブラッシュアップすることが可能です。言い換えれば、大都市経営の強み(高い家賃設定と低い空き室率)と弱み(低い利回り)を数字に反映させる必要があります。
さらに、資金調達とワンルーム購入売却を組み合わせた賃貸戦略の実行には、3区分キャッシュフローが欠かせません。この記事では、キャッシュフローを軸としたワンルーム経営を考察し、「勝つための賃貸シナリオ」を解説します。
キャッシュフロー計算書で賃貸経営をガラス張りにする
昔、大工の棟梁が身につける前掛けの胸元には、「どんぶり」と呼ばれるポケットがついていました。施主からもらった代金を無造作に「どんぶり」に突っ込み、そこから大工へ手間賃を支払い、残った代金がもうけとなる……これが、「どんぶり勘定」の語源です。キャッシュフローもグロスで収入と支出を捉えるだけでは、どんぶり勘定の域を出ていません。
では、どのように「どんぶり」の中身をガラス張りにしていけばよいでしょうか。その答えが、「キャッシュフロー計算書」です。キャッシュフロー計算書は、「営業活動キャッシュフロー」「投資活動キャッシュフロー」「財務活動キャッシュフロー」の3区分に分かれています。
営業活動キャッシュフロー
営業活動キャッシュフローとは、賃貸による家賃収入から経費や借入金利子の支払いを差し引いた残りです。営業キャッシュフローを増やすには、収入面で入居者の募集期間を短くし更新期間を延ばす一方で、適切な家賃を設定するといった経営努力が必要になってきます。
大都市・新築・ワンルームの場合、空室率の低さと家賃の高さが営業キャッシュフロー面で有利に働くでしょう。2019年2月の空室率は大阪府が約8ポイントで、約20ポイント超えで苦しむ地方圏はもちろん、2ケタ台の近県よりも有利な水準です。しかし、同じ大阪府でも木造モルタル・鉄骨系アパートの空室率は約26ポイントの水準となっています。
家賃面でも2019年4月時点の大阪府は、5万4,476円/月と近県(京都5万800円・和歌山3万9,673円・奈良4万3,288円・兵庫5万308円)より高い水準です。支出面では、低金利での融資が金利負担を抑え、営業キャッシュフローの増加につながります。不動産担保ローンの金利はおおむね2%前後ですが、賃貸経営努力が金融機関に認められれば、金利減免も十分にありえるでしょう。
投資キャッシュフロー
投資キャッシュフローには、賃貸物件への投資と売却による収支を記載します。営業キャッシュフローへ投資キャッシュフローに加算した金額がフリーキャッシュフローです。大都市で新築となると、どうしても投資価格は大きくならざるを得ず、賃貸期間を通してのキャッシュフローは一般的にマイナスになる傾向です。
・投資物件の坪単価:和歌山県全域約150万3,000円・大阪市全域約219万3,000円(2014年1月1日~2019年5月31日)
一方で、営業キャッシュフローがしっかり稼げる大都市圏ワンルームは、リセール市場でも人気です。ちなみに、賃貸物件の売却価格は収益還元法、つまり収益性で決まります。リセールで高く売ることで、最終的なフリーキャッシュフローをプラスにするのです。
財務キャッシュフロー
借り入れと返済による収支が、財務キャッシュフローです。借入金の返済原資は、営業キャッシュフローのプラス分です。そのため、賃貸収入の予測が狂うと返済計画にも支障をきたします。
キャッシュフロー計算書は、賃貸の経営戦略シナリオ作成に役立つだけではありません。賃貸経営のモニタリングとギャップクロージング、実績を踏まえたシナリオの見直しと、いわゆるPDCA(計画→実行→チェック→アクション)サイクル実践に役立ちます。ぜひキャッシュフロー計算を活用して、賃貸経営のクオリティーを向上させましょう。
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