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不動産価格高騰が今回弾けない理由とは?

1980年代後半のバブル景気をよく知っている世代は、現在50歳代以降の世代ではないでしょうか。「バブル(泡)」と呼ばれた景気ですから、本当は経済発展の実態が伴わず、見せかけだけの景気だったとも言えるでしょう。現在、日本の不動産は、当時のバブル時代に似ているという説もあります。しかし現実はどうなのでしょうか。くわしく考察していきましょう。

バブル景気が起きたきっかけ

最初に、何故バブル景気が1980年代後半に発生したのかを紐解いていきましょう。当時の世界経済の最大の特徴は、アメリカ経済が停滞していたことです。その主な要因は、ドル高。従って、当時のアメリカの花形産業であった自動車業界などの輸出産業がまったく振るいませんでした。

そこで、アメリカはニューヨークでG5(アメリカ・フランス・イギリス・ドイツ・日本)による秘密会談を設けます。その会議で話し合われたことは、米ドル高の是正。米国経済の悪化を食い止め、世界経済に好影響を与えることを目的としたものでした。1985年9月、ニューヨークのプラザホテルで各国の財務大臣(日本からは当時の竹下大蔵大臣)が出席し、ドル高是正が合意されたこの出来事は、「プラザ合意」と呼ばれています。

ドル高是正のために、各国が行ったことは、手持ちのドルを大量に売却することで、ドルの流通量を増やすことでした。お金も物も、世の中に出回る量が多くなればなるほど、その価値は下がります。従ってドルの価値を下げることを行ったわけです。この結果、円高・ドル安の流れが確定したこととなりました。

そうなると、日本は副作用として円高不況に襲われました。その状態に追い込まれた当時の政府は、財政出動と金融緩和の2つの政策を取りました。説明するまでもなく、財政出動とは公共工事などの発注を増やすこと、金融緩和とは金利を下げることです。

金融緩和の結果、銀行からのお金が不動産投資に回り、バブル景気が始まったのです。当時は、東京はもちろん、地方都市にも土地高騰が拡大し、スキー場開発やリゾートマンションの建築などが盛んにおこなわれました。その当時の様子が、「私をスキーに連れていって」といった映画で見ることができます。これが、当時のバブル景気の正体だったのです。

今回の土地高騰とバブル景気の比較

ここ数年、土地価格の高騰が現実となっています。では、当時のバブル景気時の土地高騰と異なる点はどこでしょうか。

バブル景気の時は、東京だけでなく、どこもかしこも地価の上昇がみられました。しかし今回は、本当の需要が見込める首都圏や大阪、名古屋、札幌、福岡などの大都市中心で、それ以外の土地は現状維持、または低下するなど、価格の二極化が見てとれます。勿論地方でも、土地価格が上昇しているところが見られますが、その理由は、海外からのインバウンド効果と言われています。

また現在、アベノミクスによる消費者物価指数(CPI)2%上昇が必達目標として掲げられているため、日銀・黒田総裁が現状の金融政策を変更することは難しいでしょう。というのは物価が思ったほど上昇しないため、金融緩和をもう少し続ける必要があります。このような状況下では、以前バブル景気をしぼませるために行った不動産融資の総量規制がかけにくいのが現状ではないでしょうか。

2020年オリンピック後の不動産市況は

東京オリンピック後、景気は変動すると予想しますが、過去経済規模の大きい先進国で開催された場合、その影響はあまり大きくありませんでした。2012年のロンドンオリンピック後の不動産市況を調べてみると、イギリスにそれほど大きなネガティブインパクトは発生していません。

では今後の我が国の不動産市況はどうなるのでしょうか。日本の不動産市況は二極化ではなく三極化に進むと考えられます。

それはあたかも標準偏差の分布図のように上位15%、中位70%、下位15%とわかれ、上位15%の物件は引き続き上昇、中位70%の物件は現状維持、下位15%の物件は下落というように分類されるでしょう。

特に上位15%に分類される地域は、東京都で言えば、不動産業界でいう CMC(千代田、港、中央区)として代表される地域です。しかしそのような地域であっても最寄り駅からの距離が物件価格に影響を与えます。

また東京中心部だけでなく自治体が人口流入に力を入れている街、例えば千葉県流山市の子育て支援が充実している地域や、同じく千葉県印西市の千葉ニュータウンを中心とした地域などは、上位15%に分類される地域といえます。したがって、自分の持ち家や不動産投資物件を上位15%に入る地域で購入することは、将来の資産価値維持に大きく貢献するものと考えられます。

文字通り不動産は動かないものです。言い換えると場所がすべてと言い切ることもできます。購入する場所を間違えると、不動産が負動産となり、将来のマネープランに大きな影を落とすことになりかねないので、注意が必要でしょう。
 


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