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30代の3人に2人は賃貸に住む時代に。日本の人口動態を読み解く

日本では人口減少と少子高齢化が進み、そのことが不動産マーケットに悪影響を及ぼすのではないかと予測されています。一方、核家族化や晩婚化・非婚化など人々のライフスタイルの変化により持ち家率が低下し、賃貸住宅を積極的に選択する動きもあります。今後賃貸マーケットはどのように移り変わるのでしょうか。日本の人口動態や住宅事情から賃貸マーケットの動向を考えてみます。

日本の人口は減少が続く

不動産市況に大きな影響を与えるのは人口です。シンプルにいえば、人口が増え続ける国や地域では、不動産の需要が高まり、売買価格や家賃が上昇します。反対に人口が減少すれば、価格や家賃は下落します。したがって賃貸マーケットの動向を読み解くには、人口動態に注目することが重要です。

総務省が発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成30年1月1日現在)」によれば、平成30年(2018年)1月時点の国内の日本人住民は、前年に比べて約37.4万人減少して、総計約1億2,770.7万人となりました。人口減少は2009年をピークに9年間連続しています。ただし、日本国内の外国人住民は、前年比7.5%増の約249.8万人となり、急速に増えています。

将来の人口はどうでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来人口推計(平成29年推計)」によれば、出生中位推計の結果に基づく日本の総人口は、2040年に1億1,092万人、2053年には1億人を割って9,924万人となることが推計されています。

人口は減るが世帯数は……

「人口が減っているのだから、日本の不動産市場は停滞していくだろう」、そう考えるのはやや短絡的です。なぜなら、賃貸需要においてより重要な指標である世帯数を見逃しているからです。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2018年推計)によれば、日本の世帯総数は2023年の5,419万世帯までは増加傾向にあると予測されています。その後は減少に転じ、2040年には5,076万世帯まで減少します。2023年から2040年まで減少しても、その減少率は6%程度ということです。

人口が減少するのに2023年まで世帯数が増加するのは、「単独」「夫婦のみ」「ひとり親と子」の割合が増加することが理由です。また、世帯主の高齢化が進み、高齢者の独居率も上昇するとされています。このような背景を考えると、単身者向け、あるいは少人数のファミリー向け、高齢者向けなどの住宅にビジネスチャンスがありそうです。

地域別では首都圏などで世帯数が増加

次は地域別に世帯数の動向を見てみます。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」(2014年4月推計)によれば、一般世帯数は2035年までに沖縄県を除く46都道府県で減少を開始するとあります。

なかには、2010年から2035年までの期間で、秋田(-21.4%)、高知(-17.5%)など、1割を超える減少率を示す県もあります。一方同じ期間でも、東京(+3.6%)、神奈川(+3.5%)、沖縄(+13.1%)など、増加する県もあります。世帯数が増加する、あるいは減少が少ない地域を見極めることが、不動産を買う際の重要な基準と言えるでしょう。

持ち家率は減少傾向に

次に、賃貸マーケットに影響を与える持ち家率(人が居住している住宅総数に占める持ち家の割合)について調べてみます。実はここ30年ほど、全世帯における持ち家率はほとんど変わっていません。しかし、年代別に見ると状況は変わってきます。顕著なのは30代の持ち家率です。

「平成25年住宅・土地統計調査」によれば、「30~39歳(家計主)」の持ち家率は、1983年は53.0%でしたが、2013年には38.6%となっています。ここ30年で若い世帯の持ち家率が低下し、30代の3人に2人は賃貸に住む時代になっているのです。その理由としては、所得の低下、ライフスタイルの変化による持ち家志向の低下、賃貸住宅のレベル向上などが挙げられるでしょう。

特に最近では、シェアリングエコノミー(場所・乗り物・モノ・人・お金などの遊休資産をインターネット上のプラットフォームを介して個人間で貸借や売買、交換することでシェアしていく新しい経済の動きのこと)の発展とも相まって、「所有しない暮らし」が注目を浴びつつあります。家を買い、所有することを煩わしく感じ、積極的に賃貸を選択する若い人が増加傾向にあると考えることができます。

日本全体の人口は全体で見れば減少していくものの、地域別の世帯数や、年齢別に見れば、また違った姿が浮かび上がってきます。「人口減少」という言葉に惑わされず、個別の状況をよく見極めてから物件購入などを判断する必要があります。
 


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