
米中貿易摩擦の激化による企業業績の落ち込みや消費マインドの低下など経済情勢が不透明な中で、不動産市場は全般的に好調を維持しています。
国税庁によると2019年の路線価はプラス1.3%と、4年連続の上昇を記録しました。背景には、堅調なオフィス需要・インバウンドも影響しているようです。
この記事では、不動産相場の堅調ぶりと、それを支える市場構造について解説します。
首都圏だけではなく地方都市も持ち直し

三大都市圏(東京・中京・近畿)は、相変わらず堅調です。いわゆる1都3県は、東京都(+4.9%)・神奈川県(+0.9%)・千葉県(+1.0%)・埼玉県(+1.0%)と6年連続のアップを記録しました。地価上昇の追い風の一つが、オフィス需要です。
渋谷スクランブルスクエアをはじめとする渋谷エリア、あべのハルカスを抜くビルが話題の八重洲口周辺、さらには品川エリアなど、オリンピックを控えた東京は再開発が目白押しでオフィスの大量供給が続きます。にもかかわらず、都心(港・品川・中央・千代田・新宿)の空室率は2%未満とほとんど埋まっている状況です。
不動産相場の堅調さは、地方都市にも広がりつつあります。高知県の帯屋町1丁目(+2.4%)や秋田県中通り2丁目(+4.2%)など、バブル期以来久しぶりに路線価が上昇したエリアも珍しくありません。
福岡の堅調ぶりは、三大都市圏をしのぎます。博多港・福岡空港・博多駅を擁する九州の玄関口・博多では、博多駅周辺の「博多コネクティッド」と天神地区「天神ビッグバン」で再開発事業が進んでいます。
福岡市街は、福岡空港から至近のためビルの高さが制限されてきました。そこで、国家戦略特区の特例を利用して期限付きで緩和、建て替えを促そうというのが事業の目玉です。
2019年7月のオフィス空室率は2%を切る低水準で、今のところ供給過剰の懸念はなさそうです。
地価を支えるインバウンド需要

47都道府県の中で最も伸びを見せたのは、三大都市圏や四大地方都市(札幌・仙台・広島・福岡)ではなく、沖縄県(+8.3%)です。訪日観光客の増加に伴うホテル需要・店舗需要が価格を押し上げたのです。
沖縄だけではありません。大分県(+0.6%)はバブル期以来の上昇で、別府市は10%を超えました。
別府では、高級ホテル建設ラッシュが続きます。2019年8月には、ANAインターコンチネンタルホテルがオープンしました。オリックスグループが運営する老舗の杉乃井ホテルは、宿泊2棟の新築を含めた大規模なリニューアルを予定、星野グループも進出を計画中です。
都心住宅は高止まり傾向

東京23区では新築マンションの価格上昇が続き、山手線内側の都心5区は、70㎡1億円超えの勢いです。2019年秋販売開始の白金ザ・スカイは、70㎡1.5億円を超えそうです。
湾岸エリアだと、話題のハルミフラッグで最多価格帯が7,000万円前後です。それでもパワーカップルや富裕層でない限り手は届きません。
用地不足から供給戸数も減少傾向で、マンション価格は高止まりしています。結果、販売も落ち込み、契約率は6割前後で推移しています。
そうした事情で、マンション需要は23区東北部にシフトしています。利便性の高さからマンション建設ラッシュが続く北千住西口駅前広場通りの路線価は、20%の上昇です。
2019年11月には地下鉄新駅直結の「虎ノ門ヒルズ・ステーションタワー」、大阪の新ランドマーク「ヨドバシ梅田タワー」が竣工を迎えるなど、不動産開発は相変わらず堅調です。
チャイナパワーが退潮気味の一方で、海外マネーは相変わらず健在です。2019年9月に205億ドル規模の不動産ファンドを立ち上げた米投資会社ブラックストーンも、アマゾン向け物流施設取得や中国系企業グループが手放す賃貸住宅事業の引継ぎなど、日本進出の積極的なスタンスを変えません。
とはいえ、短期的には経済動向、長期的には少子高齢化や地方の過疎化も気になります。不動産投資にあたってはトレンドに乗りつつも、将来のリスクへの目配せが欠かせません。
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