
アパートの供給過剰が問題になっており、空室が三大都市圏にも拡大傾向です。人気のないアパート多くは、建物構造・立地に共通した特徴を有しています。一方で都市中心部に立地するRC系ワンルームの場合、圧倒的に低い空室率を維持しているのが特徴です。この記事では、供給過剰リスクの現状を解説すると同時に、リスクの回避策について紹介します。
増え続ける賃貸アパート

2014~2018年の持ち家の着工戸数は低迷しており、30万戸を切る水準です。一方貸家に関しては2018年に多少落ち込んだものの、それでも40万戸近い水準を維持しています。2011年は28万戸強ですから、4割以上増加した計算です。近畿圏での状況も同じで2018年の着工戸数は6万戸弱、2011年に比べて5割近く増えています。賃貸物件が増加する背景には、以下のような内容が考えられるでしょう。
・都市を中心とする単身世帯数の増加
・ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』で不動産投資がもてはやされたこと
・貸出先難や金利低下に苦しむ銀行の融資攻勢
・相続税強化など
このなかで最大の要因は相続税強化とされています。2015年の税制改正により、相続税の基礎控除(非課税限度額)が4割引き下げられました。例えば法定相続人が3人(奥さんと子ども2人)の場合で、基礎控除額は8,000万円から、4,800万円です。この税制改正により課税対象者のすそ野は広がり、2014年の全国の課税割合(課税対象者÷死亡者全体)は4.4%から、改正後(2015年)には8%まで増加しました。
相続税対策として注目されたのが、更地へのアパート建築です。上物に貸家が建っていればそれだけで相続税評価額が下がります。さらに敷地面積200平方メートル以下の部分に関しては50%評価減の優遇も受けられます。
上昇し続けるアパートの空室率

アパート建築の過熱は供給過剰を招き、結果的に空き室率の上昇につながっています。この傾向は近畿圏も例外ではありません。木造・軽量鉄骨系アパートの場合、最も低い大阪府でも4部屋に1部屋以上が空室です。木造・鉄骨系アパートの不人気ぶりには、建築のクオリティーが大きく影響しています。持ち家建築が先細る住宅業界では、賃貸住宅において激しい過当競争が継続しているといえるでしょう。
ハウスメーカーとしては、土地のオーナーから受注を取り付けるのが最優先事項です。オーナーはどうしても利回りを気にするため、ハウスメーカーはそのニーズに応えようと手っ取り早く施工コストを削りがちです。その結果、立派なオーナーの自宅に比べて「貧相で差別化されていない」木造・軽量鉄骨アパートができあがります。
不動産会社も自社開発物件なら徹底的に賃貸の需給動向を把握していますが、オーナー所有の敷地に関しては、「周辺エリアの自己住宅・賃貸物件の成約率・募集期間」といった情報をつかんでいないケースが多いのです。そもそも敷地自体が、駅から10分以上離れているような単身世帯に不向きな物件も少なくありません。それでも入居ニーズ軽視でアパート建築を進めがちです。
こうした物件でもサブリース契約を結べば当面は一定の家賃収入を確保できるとしても、2~3年後には必ず減額改定の話が出てきます。人任せにしておいて儲けられるほど、アパート投資は甘くありません。
低空室率を維持するRC系ワンルーム
そんな状況下で、RC(鉄筋コンクリート系)の賃貸物件は好調を持続、大阪圏での空室率TVIは8ポイント以下を維持しています。鉄筋コンクリート系マンションは1平方メートルあたり施工単価が26万5,000円で、木造(16万6,000円)の50%以上建築コストが割高です。建築費がかかるだけにハウスメーカー・不動産業者による自己開発物件の割合も高く、こうした物件は綿密なマーケットリサーチに基づき作られており、立地も駅から10分未満が大部分です。
供給過剰だからといって賃貸経営そのものに未来がないわけではありません。入居者のニーズにマッチした物件を取得し、適切な家賃を設定すればおのずと活路は開けるのです。
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