
訪日客がどっと押し寄せてにぎわいを見せる関西経済圏。その追い風を受けて、大阪の不動産市場も活況といわれる機会が増えてきました。一方で、とても気になるデータもあります。先に発表された不動産経済研究所の調査によると、2018年度の大阪市内の「新築マンション販売戸数」は前年比8.8%減と大幅にマイナスです。大阪不動産は本当に好調なのか、改めて考察してみます。
近畿圏、大阪府ともに好調な新築マンション市場
不動産経済研究所が発表した「2018年度の近畿2府4県 新築マンション発売戸数」は、近畿圏全体で見ると前年比 1.2 %プラスです( 2万78戸)。この部分だけを見ると、訪日客が増加し経済的に好調な近畿圏の勢いを裏付ける数値といえるでしょう。エリアを大阪府(大阪市以外)に絞ると、新築マンション発売戸数はさらに堅調。前年比10.2%プラス(4,395戸)で勢いが増します。
ちなみに、大阪万博の開催が決定したのは2018年11月後半です。開催決定から2018年度末までわずかな期間しかなかったことを踏まえると、この調査結果に万博要因はあまり反映されていないと考えられます。もし、万博の波が新築マンション販売に如実に反映されるとしたら、2019年度以降になるでしょう。
用地争いで大阪市内マンションのプレミアム感が上昇
しかし、エリアを大阪市内に絞り込むと状況は一変します。新築マンション発売戸数は、前年比 8.8 %と大幅なマイナスです。近畿圏や大阪府では大幅プラスにも関わらず、大阪市内にセグメントすると大幅マイナスという不思議な現象が起こっています。これは、大阪市内のホテル用地争いが激化しているためです。
ホテルの用地とマンションに理想的な用地には、どちらもある程度広い面積が必要になります。加えて、最近の傾向として利便性の高い駅近マンションのニーズが高まっているため、ホテル用地と完全にバッティングする状態になっているのです。今後、大阪万博に伴う再開発の本格化、さらに有力候補といわれる大阪IRが決定すれば用地争いは激化していくことが予想されます。
その結果、大阪市内の好立地にあるマンションはインカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)の両面でプレミアム感が増し、有利になるでしょう。一般的に、新築マンションの発売戸数のマイナス傾向は不動産市場の停滞(ひいてはエリア経済の低迷)を示すバロメーターと考えられます。しかし、大阪市内の不動産市場のような絶好調を示しているケースもあるわけです。
この大幅マイナスは、投資目線でいえば「買い」を示すシグナルとも考えられます。
大阪市内のホテル開業ラッシュの中身

大阪は、ホテル開業ラッシュとよくいわれます。具体的には大阪府全体のホテル数は2016~2020年にかけて「4割以上増える見通し」です。(日本経済新聞2018年8月8日付)大阪市内でも主要ターミナル駅前など、一等地の用地争いが顕著になっています。例えば、大阪市内に開業予定のホテルで話題性が高いのは、阪急阪神ホールディングスが大阪駅北側で建設予定の「ヨドバシ梅田タワー(仮称)」に入る「ホテル阪急レスパイア大阪」で、総客室数は1,032室、2019年11月に開業予定です。
その他、キタ・ミナミエリアでは世界最大級のグループ規模を誇るマリオット・インターナショナルが心斎橋で「Wホテル」、梅田で人気ブランド「モクシー」の宿泊施設を開業予定です。また、訪日客の人気が高まっている新今宮エリアには、星野リゾートやプレサンスコーポレーションの新しい感性のホテルがオープンする予定になっています。
大阪中心部を軸にしつつ、近畿圏を意識してエリア選定を
ここで見てきたように、不動産投資はホテル進出や再開発状況などと密接な関係があります。そのため、経済動向をしっかり確認しながらエリア選びをするのが賢明です。これから関西で不動産投資をする方がエリア選定をする場合、やはりすさまじい勢いの大阪中心部マンションが第一候補に挙がってきやすいでしょう。
ただ、注目度が高い分、これから先は物件が入手しにくくなることも予想されます。そのため、同じく好調モードの大阪府、近畿圏全体も視野に入れつつエリア選びをするとスムーズかもしれません。
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