
「2025大阪・関西万博」の開催が決定し、大阪を中心とする関西経済圏が盛り上がりを見せています。その影響で、「マンション価格や入居率・賃料などで有利になるのでは?」と不動産投資家の期待が高まっています。しかし、万博開催で本当に大阪の不動産マーケットは活性化するのでしょうか。いくつかのレポートを元に考えてみましょう。
シナリオ1:賃貸ニーズが高まる→インカムゲイン(家賃収入)で有利に
りそな総合研究所が2018年11月に発表した予測では、2025大阪・関西万博(以下、大阪万博)の開催により関西で約1兆3,000億円、全国で約2兆2,000億円の経済波及効果があるとされています。あわせて、大阪万博は関西の実質GRP(域内総生産)を0.5%押し上げるとの予測もありますが、この数字が物足りなく感じる方もいるかもしれません。
しかし、近畿経済産業局管内にある関西2府5県(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)の経済規模は、名目GDP(国内総生産)世界18位のトルコ(2014年段階の順位)に次ぐものです。オーストラリア、韓国、スペインなどのGDPと比較した場合は約半分にあたります。つまり、関西経済圏は国に匹敵するレベルなのです。その巨大経済圏の0.5%アップはインパクトのある数字といえます。
では、この巨大経済圏の好調を背景に大阪の不動産マーケット(賃貸マンション動向)は、具体的にどのように変化するのでしょうか。2つのシナリオが考えられます。1つ目は、経済活性化により単身者を中心にした労働者が流入し、賃貸ニーズが高まって「家賃を有利な額に設定しやすくなる」「空室率が低下する」というシナリオです。とくに関西経済圏の中核である大阪中心部でその傾向が強くなると予想されます。
シナリオ2:地価高騰→キャピタルゲイン(売却)で有利に
大阪万博の経済波及効果の大きさをリアルに感じるのが来場者数です。2025年の大阪万博は、約2,800万人の入場が見込まれています。一方、近畿地方2府4県(大阪、京都、奈良、兵庫、滋賀、和歌山)の人口が2,077万5,713人(2018年1月1日現在)ですので、これを大きく上回る人が訪れて滞在・消費することになります。経済波及効果の大きさがすさまじいものになることは容易に想像できるでしょう。
この経済波及効果は、地価の上昇を後押しする一因になりえます。関西の不動産価値が上がる2つ目のシナリオは、まず商業地が活性化した後、それが大阪中心部の地価を押し上げ、所有マンションの価値が上昇しやすくなるというものです。もちろん、地価が確実に上がるわけではありませんが、有利な環境になったのは間違いありません。
さらに、需要を下支えしてくれるといわれるのが、外国人観光旅行客です。来場者のうち、約300万人が外国人観光旅行客によるインバウンドと予測されています。小売り・宿泊などのインバウンド消費は他の産業よりも経済波及効果が大きいと考えられる点でも、心強いでしょう。とくに宿泊に関しては、インバウンドも含めて全体で1,000万人が利用すると予測されています。
そのため、「ホテルの建設ラッシュの影響で周辺の不動産価値の上昇が見込める」と考える識者は多いようです。
懸念材料は米中貿易摩擦による経済停滞
ここでは大阪万博によって、家賃収入のインカムゲインと売却益のキャピタルゲインの両面で有利になる可能性が高いことを解説してきました。もし、シナリオが現実化するなら大阪万博が近づくにつれて、その機運は高まっていくでしょう。ただし、米中貿易摩擦の対立が先鋭化したり、長期化したりするという懸念材料もあります。
インバウンドの最大消費国である中国をはじめ、世界経済が極端に落ち込めば国内景気に与える影響が大きくなるでしょう。しかし、2019年現在から大阪万博開催までは5年以上の期間がありますので、目先の経済動向に神経質になり過ぎる必要はありません。2025年の大阪万博後も、最短で2037年にリニア中央新幹線が大阪まで延伸する予定です。
経済を活性化させる材料は続くため、長期的に見ても大阪は国内で有数の注目不動産マーケットになる可能性が高いでしょう。継続的に情報をウォッチしていきたいものです。
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