投資用の不動産物件に対する融資には、不動産投資ローンを用います。アパートマンションローンとも呼ばれるこの不動産投資ローンは、多くの金融機関が取り扱う商品で、各機関によって融資条件や審査基準が異なります。本記事では、不動産投資ローンの金利相場や金利を少しでも低く抑える方法について解説します。各種ローンや金利の違い、返済金額の計算方法などを知ったうえで、融資の利用について検討してみましょう。
不動産投資ローンと通常の住宅ローンとの違い
不動産投資ローンと通常の住宅ローンは、まず原資が異なります。前者では不動産の家賃収入が見込めるため主な返済原資はその収入となります。一方後者においては、借主自身の給与が基本の返済原資です。
返済原資の違いは、融資の審査内容にも違いをもたらします。通常の住宅ローンでは、借主自身の属性が主な審査対象です。勤務先や勤続年数、収入、資産状況や借入状況などが主な審査内容となります。当然不動産投資ローンにおいても、このような借主の属性は重要です。ただし、それに加えて物件の条件が重要視されるのが大きな相違点でしょう。
不動産投資ローンの審査では、物件の新古や立地条件、その他建物や部屋の条件等に大きく左右されます。借主の属性は高評価でも物件の条件によっては、融資自体が断られてしまうケースもあるので注意が必要です。
このように通常の住宅ローンの方が原資が安定していて貸し倒れリスクが低いとみなされるのが一般的で、通常の住宅ローンの方が金利も低くなります。ざっくりとした目安を示すとするならば、通常の住宅ローン金利は0.5%~2.0%程度、不動産投資ローンでは金利が1.5%~4.5%程度と高水準になります。(2020年6月現在)
住宅ローンの金利についてもう少し掘り下げて、変動金利と固定金利の違いについても見ておきましょう。金利のタイプは、変動金利・固定金利(期間選択型)・固定金利(全期間固定型)の3つに分類されます。最も金利が低いのが、変動金利です。
変動金利とは、市場金利と連動して金利が変動するというもので、契約中に金利見直しが行なわれます。一般的には6か月ごとの見直し、返済金額は5年ごとの見直しとなります。固定金利の期間選択型は、一定期間においては金利が固定、期間終了後に変動金利か固定金利かを選択するというものです。全期間固定型は名称通りずっと金利が変わりません。返済の見通しが立てやすいメリットがある一方、他の金利タイプで大幅に金利低下した場合にも見直しができない点は理解しておかなくてはなりません。なお、期間選択型の方が全期間固定型よりも金利は低くなります。
各金融機関における住宅ローン金利の相場
不動産投資ローンを利用する場合の金利相場はどの程度なのか、いくつか実例を紹介します。「メガバンク・都市銀行」「地方銀行」「信用金庫・信用組合」の3つに分けてまとめています。
■メガバンク・都市銀行
・店頭:金利2.474%~2.475%
・WEB:金利0.475%~0.525%
(※2019年11月申込、変動型の場合)
いずれも金利はほぼ横並びとなり、WEB申込の方が金利が低くなります。地方銀行よりも金利が低くなる傾向があり、返済期間を長く見てもらえるという利点もありますが、審査基準が厳しくなりやすいのが特徴です。
■地方銀行
・店頭:金利2.475%~4.500%
・WEB:金利0.470%~0.625%
(※2019年11月申込、変動型の場合)
メガバングや都市銀行と比べて金利は高くなる傾向があり、融資期間も比較的短いことが特徴です。ただし、銀行によって融資審査の基準や方針が大きく異なるので、好条件で融資を受けられる物件・エリアを見極めることが重要です。
■信用金庫・信用組合
・店頭:金利2.100%~2.900%
(※2019年11月申込、変動型の場合)
信用金庫・信用組合における住宅ローン金利は、地方銀行と大差がないイメージです。ただし、物件を購入した地域によって融資エリアが限られてくるため、事前に融資の条件や基準などをきちんと確認しておきましょう。
不動産投資ローンの返済シミュレーション
不動産投資ローンの返済額についてシミュレーションしてみましょう。
今回は以下の条件で計算します。
不動産投資ローンの借入条件 | |
---|---|
融資額(借入金額) | 5,000万円 |
ボーナス返済の割合(0~50%が一般的) | 10% |
返済期間(35年以内一般的) | 20年 |
金利 | 2.475% |
返済金額 | |
---|---|
毎月の返済金額 | 237,908円 |
ボーナス月の加算額 | +159,234円 |
年間の返済金額 | 3,173,366円 |
※金利など、借入当初の条件が変化しないものとして仮定しています。
ここで注意したいのは、不動産投資では同じ5,000万円の融資を受ける場合でも、返済期間によって毎月のキャッシュフローに大きな差が生まれるということです。
上記の条件で「返済期間を35年間」にした場合を見てみましょう。
返済期間を35年にすると、毎月の返済額が「160,270円」となり、返済期間20年のときと比べて約8万ほど少なくなります。その結果、家賃収入からローン返済額を差し引いた「毎月の手元資金」も増えることとなります。
返済期間が長くなると金利の負担が大きくなるという懸念もありますが、低金利の状況であれば、返済期間を長く設定したほうがキャッシュフローに余裕ができ、資金繰りの悪化や赤字を防げるという利点があります。さらに、手元資金を増やすことで、資金を別の投資に充てて、さらに大きなリターンを得られることもあります。
毎月の返済を滞りなく行なおうとすると、つい金利のみに目が行きがちですが、返済期間や手元に残る資金なども考慮したうえでローンを組まなくてはなりません。また、物件の構造によっても融資期間が異なるため、物件の耐用年数も十分考慮してから、投資物件を選定しましょう。
不動産投資ローンの金利を抑える方法
賢く、無理なく不動産投資ローンを利用するためには、低金利であることが大切な条件の1つです。ここでは、金利を抑える方法について解説したいと思います。
まずは、融資に強い不動産投資会社を選んで物件探しをすることです。素人でも分かりやすいチェックポイントは、会社の融資実績及び提携金融機関の豊富さでしょう。融資に強い会社を選ぶだけでも、融資が受けやすくなったり金利が抑えられたりします。
不動産投資会社の中には、開発から販売、管理までを一貫して行なっているところもあり、安定した家賃収入を得るための物件づくりや管理体制が整っています。すると融資する側としても、このような会社の物件に対して担保価値を認めやすくなるというわけです。
次に、金利の選び方です。基本的に固定金利よりも変動金利の方が低くなるので、後者を選択するのが良いでしょう。実際、金利が低いことを重視して、変動型を選ぶ人の方が圧倒的に多くなっています。ただし見直しのタイミングで金利が上昇するリスクもあり、それに伴い返済金額が増えることがあることも十分に理解しておかなくてはなりません。金利上昇時にある程度対応できるほどの余裕がなければ、リスクが高くなるケースもあるでしょう。
最後にもう1つ、これはすでに不動産投資ローンを利用している人向けの方法ですが、返済実績があることで金利を低くできる可能性もあります。例えば他の金融機関にローンの借り換えシミュレーションをしてもらい、最も安いプランを手にして利用中の金融機関の担当者に相談に行くのです。乗り換えを前提として話をすることで、金利交渉が可能となる場合があります。
借り換えの相談自体は無料で行なってもらえますし、簡易診断のサービスを利用してみても良いでしょう。また、うまく金利交渉に繋げるためには、これまでのクリーンな実績も重要です。当然のことではありますが、返済の滞りがないようにしておかなくてはなりません。
不動産投資の物件購入となると必然的にローン借入額も大きくなるうえ、不動産投資ローンは通常の住宅ローンよりも金利が高くなるのが一般的です。どの金融機関を選択するのか、どのような形で何年間返済していくのかによっても、月々の返済額や総返済額は大きく異なります。不動産投資会社の選び方が重要になることもあるでしょう。金利の仕組みや低く抑える方法を知り、事前に金融機関の審査基準や諸条件を確認したうえで、自分なりに返済のシミュレーションをしてみることが大切です。自身の人生設計とも照らし合わせて考えてみましょう。
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