資産運用で成果を出すには、時代の流れを読むことも大切になります。特に重要なのが「これから先はインフレか、デフレか」といった見極めです。これを見誤ると将来的に「資産が目減りするリスク」が増えてしまいかねません。今回はインフレ時代にローンを活用して投資を行う防衛策などについて解説します。
令和はインフレ時代 貯金をすれば安心は通用しない
大きな流れでいうと昭和はインフレ時代で平成がデフレ時代でした。そして平成末期から令和は再びインフレ時代(予測)となっています。日本では、モノやサービスの値段が下がり、お金の価値が高いデフレ時代が長く続きました。しかし政府はインフレ政策に大きく舵を切っているため、これまでと同じような「貯金さえしていれば安心」という感覚は通用しません。
インフレ時代で重要なことは、貯金以外の資産運用を考えていくことです。なぜならインフレ局面では、現金(貯金も含む)の価値が下がるからです。
消費者物価指数の推移で見ると、昭和インフレ、平成デフレを実感できる
「昭和はインフレ時代、平成はデフレ時代だった」と解説しましたが、具体的なデータでこれが事実かを再確認してみましょう。独立行政法人労働政策研究・研修機構が総務省の「消費者物価指数」を参照して作成したグラフによると、消費者物価指数は1950~1990年代前半にかけては長期的に右肩上がりで伸びていました。1950年に10台前半だった消費者物価指数は、1990年代前半に90台まで増えています。
つまり昭和(戦後)は強いインフレ局面だったといえるでしょう。その後1990年代後半~2010年代にかけての消費者物価指数は100前後で停滞していました。しかし2017年100.4、2018年101.3と消費者物価指数は上昇傾向です。この20数年のデフレ時代を経て、日本は再びインフレ時代に突入しようとしています。
インフレ時代はすでに始まっている 現金の価値は減っていく
平成末期から国はインフレ政策を進めています。日銀の黒田総裁は2013年の就任当初に物価上昇率2%の目標を発表しましたが、2019年8月時点で目標の2%にこそ届いていません。しかしインフレ局面が続いています。直近の消費者物価指数は次の通りです。
・2016年:前年比- 0.1%
・2017年:前年比0.5%
・2018年:前年比1.0%
・2019年5月:前年比0.7%
・2019年6月:前年日0.7%
・2019年7月:前年比0.5%
・2019年8月:前年比0.3%
出所:総務省統計局 ※2015年を100とした場合の消費者物価指数(総合)
ちなみに2019年4月に日銀が発表した2021年度の消費者物価指数は 1.6 %です。(見通し)目標の2%には達する可能性は低いとされていますが、このままインフレが進行すれば国民が所有している現金価値は確実に減っていきます。
要注意!令和のインフレは好景気と連動しにくいのが特徴
「インフレのときは好景気なので賃金が上昇する」「物価上昇分が吸収されるから問題ない」というのが昭和のインフレの常識でした。そのため国民はインフレ防衛策を真剣に考える必要がなかったといえます。しかし令和のインフレは必ずしも好景気とリンクしないのが特徴です。つまり収入が増えないにもかかわらず物価が上昇していく可能性があります。
この点について2018年6月に公表された参議院の予算委員会調査室のレポートでは「バブル崩壊以降は景気に対する物価の反応度は低下している」と解説されているのです。そのため私たちはインフレ防衛を本気で考えていく必要があるといえるでしょう。インフレ防衛策としては、預金・現金の比率を減らし、現物資産を増やすことが挙げられます。
なぜならインフレは現金の価値が下がりモノの価値が上がる現象だからです。現物資産の代表例としては、不動産、金、宝飾品などがあります。
令和時代のインフレは、ローンによる投資で防衛する
インフレ防衛策としては、長期的なローンを組むのも有効です。なぜならインフレ局面では現金・預金と同じように、ローンの実質負担も減っていくからです。しかしローンをしまくって買い物をしたほうがよいということではありません。いくらローンの負担が減る可能性があるからといっても、それを消費に回したら返済だけが残ります。
意味のあるローンとしては金融機関のローンで投資を行い、それでリターンを確保するのが有効です。仮にローンの金利が2%で投資の利回りが5%なら両者の差である3%分のリターンを得られます。このリターンで物価上昇分を吸収していけば、インフレが続いても防衛策となり得るでしょう。さらにインフレによってローンの実質負担が軽減されれば二重でメリットとなります。
ローンで投資をする方法の一つとしておすすめなのが不動産投資です。金融機関は、金や宝飾品を買うために融資をしてくれませんが、不動産投資には融資をしてくれます。現物資産かつローンで投資ができる不動産投資は令和の厳しいインフレ時代に合った資産運用といえるのではないでしょうか。
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