
安倍政権でもよく使われている「人生100年時代」という言葉が現実味を帯びてきています。老後の生活不安が高まる中、年金および退職金以外の資産形成にも注目してみましょう。広く知られているように年金と退職金だけでは、老後の生活を支えることはほぼできません。大抵の場合、資産形成を行ったり、何らかの収入手段を確保したりする必要があるのです。
良きにつけ悪しきにつけ、老後は誰にでもやってきます。資産が確保できないからと、赤字のまま老後を迎えてしまえば、困るのは自分自身です。とくに定年退職後である65歳からの人生設計については、必要額をきちんと見積もったうえで、計画的に判断していくことが求められます。そこで本稿では退職後に必要な資金について考えていきましょう。
話題となった“老後2,000万円”必要説

金融審議会の市場ワーキング・グループが発表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」には、老後の不足額を1,300万~2,000万円と試算しています。このことは、すでに一部で似たような試算が行われていたものの、あらためて公式に言及されたことで、社会に対し大きなインパクトを与えました。政府が受け取りを拒否したことからも、影響の大きさがうかがえます。
ただ一方で日本人の寿命が延びていることは厳然たる事実です。厚生労働省が発表している「平成29年簡易生命表」によると、2017年の日本人の平均寿命は男性で81.09年、女性は87.26年と過去最高を更新しています。2017年の世界における平均寿命は、香港(男性81.70年、女性87.66年)に次いで2位につけているなど長寿命化は世界でも有数です。つまり私たちは誰もが老後について真剣に考えるべき時期にきているということです。
退職後の支出は1億円を超える!?
実は、老後資金の必要額2,000万円が話題になる以前にも、金融庁が2019年4月に出している「人生100年時代における資産形成」という資料が発表されていました。この資料によると退職後の支出は「月25万円+α」として、実に9,500万~1億1,000万円と試算されており、資産形成額は1,500万~3,000万円と記載されているのです。
人生100年時代の退職後は30年
現状、65歳での定年退職が通例であると考えれば、人生100年時代における老後とは35年となります。計算しやすく30年だとした場合でも、65歳以上の2人以上世帯による1ヵ月の消費支出約25万円(2017年度家計調査より)が「12ヵ月×30年」となるため、トータルでの支出(生活費)は9,000万円です。しかも必要となる支出はこれだけにとどまりません。
生活費、医療費、介護費などを勘案すると……
老後に必要なのは、9,000万円の生活費に加えて住宅の修繕費、医療費、車の買い替え費、さらには介護費用なども挙げられます。金融庁の「人生100年時代における資産形成」では、介護費が0~1,000万円、その他が500万~1,000万円と試算されています。これらの支出を勘案すると最大で1億1,000万円の支出になるという計算です。
必要な資産形成額とは
このうちどれだけの額を用意すればいいのでしょうか。同資料の試算では、公的年金(基礎年金+厚生年金)による収入が8,000万円、退職金や私的年金が1,000万~2,000万円であるとし、残りの1,500万円~3,000万円を必要資産形成額として提示しています。話題となった金融審議会の報告書より、なんと、最大で1,000万円も多くなっています。
個々人に応じたシミュレーションを

もちろん、これらの資料で行われている試算は、あくまでも平均額をベースにしたものです。そのため個々人によって事情が異なることは言うまでもありません。しかし老後の必要資金の目安として念頭に置いておくことも参考になるのでないでしょうか。これらの数字を指標としつつ、個々人に応じたシミュレーションを経て、適切な資産形成を実施していきましょう。
人気の記事ランキング
キーワードから記事を探す
注目の不動産投資セミナー
大阪・京都・神戸

大阪・京都・神戸の物件を希望の日程で見学できる物件見学会を開催中!
- 日程
- 適時開催
- 会場
- 見学対象の区分中古マンション
名古屋

名古屋の物件を希望の日程で見学できる物件見学会を開催中!
- 日程
- 適時開催
- 会場
- 見学対象の区分中古マンション