若いうちに蓄財し、一般的な定年退職を待たずして引退する「早期リタイア」。そんな早期リタイアに憧れている人も多いのではないでしょうか。時代背景や制度的な変化を経て、定年退職の年齢は55歳、60歳、65歳へと伸長してきました。「いつまで働き続ければいいのか」という思いがよぎるたびに、早期リタイアを検討したくなるのも無理はありません。
その一方で、早期リタイアの裏には見えない危険が潜んでいることも事実です。ここでは、そんな早期リタイアの“落とし穴”について見ていきましょう。
国内と海外で広がる早期リタイアの流れ
日本国内の動向としては、大手企業を中心に「早期退職優遇制度」を活用する企業が増えているようです。東京商工リサーチの調査によると、2019年に希望・早期退職者を募った上場企業は、5月の段階で16社に達しています。すでに2018年度の12社を上回っており、年齢条件付きの募集では、45歳を一つの目安にしている企業が10社と最多になりました。
募集人数の合計は6,697人と節目の5,000人を超え、2013年以来の1万人超えも視野に入っている状況です。その背景には、上場企業を中心としたビジネスモデルの再構築があると分析されており、今後の動向次第では、高額な報酬を得ているビジネスパーソンを中心に45歳での早期リタイアを見越したキャリア形成が進んでくるかもしれません。
事実、海外では「FIREムーブメント」が広がりつつあります。FIREとは「Financial Independence Retire Early」の略称で、経済的に独立して早期リタイアを実現するライフスタイルのことです。2000年代に成人したいわゆる「ミレニアル世代」を中心に広がっている概念で、適切な投資と必要最低限の生活により、早期リタイアを可能にしています。
早期リタイアに潜む落とし穴とは
国内企業の動向に加えて、海外で巻き起こるムーブメントなども参考にしつつ、早期リタイアを実現したいと考える人は今後も増えていくと予想されます。しかし早期リタイアには、プラス面もあればマイナス面もあります。きちんと計画を立てて取り組まなければ、思わぬ落とし穴にハマってしまうかもしれません。それでは、いったいどのようなケースが考えられるのでしょうか。
長期的視点に立った資金計画がない
例えば、長期的な視点に立つことなく早期リタイアしてしまうと、自由に使えるお金が制限されてしまい、最悪の場合には生活資金に困窮するということにもなりかねません。退職金をあてにしている人もいるかもしれませんが、まとまったお金をきちんと運用するスキルがないと、中長期にわたって適切に資金を維持することは難しいのが現実です。
リタイア後の資金はどのように見積もるべきか?
また、きちんとお金の管理・運用ができる人であっても、リタイア後に必要となる資金の見積もりが甘いと、結果的に困窮する可能性があります。高齢夫婦無職世帯の平均額で見ても、月々の支出は約26万円と試算されており、年間で約300万円、40年で1億2,000万円ほどの資金が必要です。引退後に全く働かないことを前提にすると、さらに多くの資金を用意する必要があるでしょう。
厳しい試算が将来の備えとなる
FIREムーブメントの前提となっている考え方としては、「4%ルール」というものがあります。これは、年間生活費の25倍の運用元本を用意し、それを年間4%の利回りで運用すれば、元本を減らすことなく生活できるという発想です。例えば、年間生活費400万円の25倍である1億円を用意し、それを4%で運用すれば、得られる利益の範囲内で生活できます。
ただ、そのためには1億円の資産を用意しなければならないことに加え、4%という決して低くない利回りを維持していく必要があります。やはり早期リタイアは甘くないという視点に立ち、あらかじめ厳しい試算によって将来の備えをしておくことが求められます。それが結果的に、早期リタイアの落とし穴を回避することにつながります。
生活の充実も欠かせないポイントに
お金の問題とともに、リタイア後の生活についてもイメージしておくことが大切です。そもそも仕事というのは、個々人の生活を律しながら、やりがいや他人との交流をもたらしてくれる要素も含んでいます。生活そのものが乱れてしまっては、充実した日々を送ることはできないでしょう。そのような部分にも、注意しておくことが肝要です。
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