
東京オリンピックをきっかけに、本格的な観光立国を目指す日本。各地で今、訪日外国人の数が急増していますが、中でも人気が高いのが大阪です。ホテル稼働率で見ると、オリンピックの開催地である東京を上回る勢いです。深刻なホテル不足は回避できるのでしょうか。
2020年のホテル稼働率 東京約100%に対し大阪約104%

日本国内では、東京オリンピックや大阪万博などの開催が予定されている影響もあり、近年、急激に訪日外国人の数が増えています。2018年は3,000万人を突破。政府目標では2020年に4,000万人、2030年では6,000万人を想定しています。
この訪日外国人増加の影響により、ホテル不足が深刻化する都道府県も出てきました。ニッセイ基礎研究所が発表した「都道府県別のホテルの稼働率の推移」では、全国の中でも特に大阪のホテルの稼働率が高まっていくと見込まれています(2017年の客室数で固定した場合)。
2017年に86.5%だった稼働率は、2020年104.1%、2030年 111.1%と推移しています。これはオリンピックが開催される東京を超える高水準(2020年 99.6%、2030年 105.5%)です。稼働率が85%を超えるとホテルの客室数は不足すると言われています。それを考えると大阪のホテル不足は深刻です。
現在、大阪は万博だけでなく、IR(カジノを含む統合型リゾート)の有力候補地になっており、計画が実現すると、この予測以上にホテルが足りなくなる心配もあります。
大阪のホテル不足を解消すべく2020年までに2万室アップ
もちろん、このような客室数不足に対応すべく、現在の大阪ではホテルの建設ラッシュが続いています。その結果 、2万室のホテル客室が2020年までにオープンする予定になっていて、2030年時点で必要な客室数をカバーできると見込まれます。
しかし、2万室を増やすという計画を見て、逆に「供給過剰になるのではないか」と思われる方もいるでしょう。そこで、先に挙げたニッセイ基礎研究所のレポートに基づいてみると、2030年に大阪で必要な客室数(2017年の 1.9万室増)と、2018年~2020年の間にオープンする客室数(2017年の2万室)がほぼ同じであることから、極端な供給過剰になることは考えにくいといえるでしょう。その結果、稼働率の予測も70%後半~80%前半となり、客室数不足が解消されると予想されます。
世界文化遺産の決定、USJの新エリアなどもインバウンドにプラス

それでも、大阪のホテル客室数が不足する懸念もあります。なぜなら、大阪ではビッグイベントや巨大プロジェクトがめじろ押しのため、想定以上の訪日外国人が押し寄せる可能性があるからです。
大阪では万博やIR(候補地)に加えて、2019年7月に南部エリアの「仁徳陵(百舌鳥・古市古墳群)」が世界文化遺産に登録されたというトピックスもあります。アクセスのしやすさから、多数の訪日外国人が訪れると見込まれます。
また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのマリオカートをテーマにした新エリア(アトラクション)もインバウンドに多大な影響を与えそうです。これは600億円超の総工費が投じられるビッグプロジェクトです。
今後、国際都市として発展していく可能性大の大阪
大阪周辺では、万博開催に合わせてインフラの整備が行われています。これにより、大阪の都市の機能性が高まることも、訪日外国人の満足度に貢献することでしょう。例えば、万博やIRが計画されている夢洲まで、JRと地下鉄が延伸される予定です。これによって大阪市内からだけではなく、遠方からも夢洲まで電車でアクセスしやすくなります。他にも、長期スパンでは、リニア中央新幹線の開通や北陸新幹線の大阪延伸が計画されています。
訪日外国人を増やし、都市の機能が整備されれば、大阪は10年後に全く違う国際都市になっていることが予測されます。ホテルのオープン計画はそのための適切な投資だといえるでしょう。
一方で、極端な世界経済の悪化や有事により、訪日外国人数が激減するリスクもゼロではありません。大阪の命運は、世界の経済・政治の安定が握っているといっても過言ではありません。
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