
5年に1度の年金財政検証が8月27日に公表されました。今度の検証は、わたしたちに自助努力が不可避である事実を突き付けました。今まで頼りにしていた公的年金が、単なる抑えの投手に過ぎないことが明らかになったのです。
ではゆとりある老後を送るために、今後の資産運用はどうあるべきでしょうか。
3ヵ月もずれ込んだ年金財政検証の公表

厚生労働省は、公的年金(厚生年金・国民年金等)が財政面で長期的に持続可能かどうかを、5年に1度のサイクルで検証しています。検証で最も注目されるのは、将来の年金給付水準です。給付水準は、100年先までの経済動向(経済成長率や労働参加率など)や人口動態に関して前提条件を置いた上で見通しを立てるため、前提条件次第で大きく変わってきます。
当初は6月初旬とされていた公表時期は、結局3ヵ月近くもずれ込みました。この前段で、「年金だけでは老後の生活に2,000万円不足」などとする金融審議会レポートで世間が騒然となり、参院選への影響を懸念した政府が公表を控えさせた、とも言われています。
過去にはさほど目立ったイベントではなかった年金財政検証は、こうした経緯もあって今までになく国民の関心を集めたのです。
公的年金はファイアマンに過ぎない
財政年金検証をレビューするにあたっては、注意点が2つあります。
1つ目は、将来の年金給付水準見通しが「所得代替率」で示されている点です。これは、現役世代の所得水準に対する年金給付水準(夫=厚生年金+妻=専業主婦のモデル)の割合を意味します。
過去の推移を見ると、2014年は62.7%、2019年は61.7%と、代替率が徐々に下がっています。政府は50%の維持を目標としており、これを割り込みそうな場合は、給付減額ないしは負担引き上げといった見直し検討が義務付けられています。
2つ目は、給付水準の前提条件です。検証では、人口・労働力・経済の3つを置いて給付水準をシミュレーションしていますが、今回特に注目されたのが、労働力です。なぜならば、今後の経済成長は高齢者や女性の労働参加にかかっており、経済成長を成し遂げられなければ、政府が掲げる所得代替率50%も維持できないからです。
検証の結果出てきた給付水準は、厳しいものでした。労働参加が最も進み、毎年1.3%の経済成長を続けたとしても、30年後の所得代替率は51.9%まで下がります。労働参加が進まずに経済成長率が年0.3%にとどまる場合、所得代替率は38%にまで一挙に低下します。そうなれば、老後の生活資金で不足するのは2,000万円どころではありません。
今回の年金財政検証は、わたしたちに資産形成の自助努力を求めているのです。ゆとりある老後の生活に必要なのは、まず定年後もできる限り働き続けること、次に現役のうちに資産を形成することであり、公的年金はファイアマン(野球の抑え投手)に過ぎないのです。
現役時代に転ばぬ先の杖を

「公的年金をあてにはできない」20代・30代の層にも、最近はそんな意識が根付いています。老後の資金は自分で何とかするしかない、という覚悟を決めた若者たちは行動も変えつつあります。アルバイト代の一部から2万円を投資信託に積み立てる学生も珍しい存在ではなくなりました。
クレジットカードを使った買い物や飲食で貯まった少額のポイントで、株や投資信託を買えるサービスも利用者が急増中です。
Tポイントが使える「SBIネオモバイル証券」の口座数は、4月のサービス開始から5ヵ月弱で10万口座を超えました。このうち約半数は20・30代とされています。
「ネット取引が浸透し、新規顧客は店頭に足を向けない」といった常識を覆す動きも出てきています。某中堅証券が導入した新型店舗には、投資に興味を持った20代・30代の層が、ふらりと足を向けるようになりました。
もちろん40代・50代の皆さんも、決して遅すぎることはありません。転ばぬ先の杖として、今からでも資産運用を始めてみませんか。
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