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家賃下落リスクのインパクトを大げさにとらえるべきではない理由

マンション経営には「家賃下落リスクがある」ということを聞いて、不動産投資に二の足を踏んでしまう人がいるかもしれません。主な収入である家賃が下がるリスクを抱えながら、本当に成功できるのかどうか不安になるでしょう。実際に家賃の下落にはどれくらいのインパクトがあるのか、統計からひもときます。

経年劣化は「リスク」ではない

(写真=Suzanne Tucker/Shutterstock.com)
(写真=Suzanne Tucker/Shutterstock.com)

「家賃下落リスク」と聞いてまず思い当たるのは、経年劣化によって競争力が低下し、募集家賃を下げることではないでしょうか。マンション経営においては、築年数が経つにしたがって、成約賃料が下がっていくのが一般的です。

1年あたりに家賃が下がる割合は、一般的に1%前後といわれています。最近の総務省による研究では、平均で0.8%ほど低下しているという結果が得られました(下表参照)。

もし下落が0.8%ずつ30年間続いたら、新築当初の家賃から2割強下がることになります。10万円だった家賃が8万円弱になるわけです。これを高いとみるでしょうか、それとも低いとみるでしょうか?

家賃の下落は、金融商品などの価格変動リスクに比べると低いといえます。また、下がるといっても、ゼロになることはありません。不確実性を表す「リスク」というよりは、予見できる「デメリット」ととらえたほうが良いでしょう。事前のシミュレーションや対策ができます。
 

(写真=Beer Wanchana/Shutterstock.com)

※総務省「借家家賃の経年変化について-消費者物価指数における家賃の品質調整に関する調査研究-」より

家賃相場は横ばいまたは上昇

(写真=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)
(写真=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

家賃が下落する要因は経年劣化だけではありません。周辺相場による影響もあります。市場の変化は、購入してからは自分でどうすることもできない「リスク」です。 物件周辺の地域における家賃相場の動向は、よく知っておく必要があります。

全国における共同住宅の賃料は、ここ10年ほど横ばいが続いています。20年以上の長期スパンで見ると下落傾向はあるものの、今は停滞期にあると言って良いでしょう。一部の地域では小幅な上昇も見られます。
 

(写真=Beer Wanchana/Shutterstock.com)

※一般財団法人日本不動産研究所「第23回全国賃料統計」より

三大都市圏のマンション賃料は大きく上昇

先ほどの資料とは算出方法が異なりますが、三大都市圏の市場を見てみます。アットホーム株式会社と株式会社三井住友トラスト基礎研究所が共同で算出している賃料インデックスによると、東京23区・大阪市・名古屋市は2013年頃より上昇の傾向を強めています。特に大阪市の伸びが顕著です。
 

(写真=Beer Wanchana/Shutterstock.com)

※株式会社三井住友トラスト基礎研究所「マンション賃料インデックスから見る住宅市況-2019年第2四半期」より

相場の動きにはこれからどのような変化があるかわかりませんが、2019年現在としては悲観するような状況ではありません。むしろ大阪などの地域では堅調に推移しており、賃料を上げられる可能性もあります。下がる恐れがある反面、上がる希望もあるのが「リスク」です。

近畿地方のマンション価格は10年間で1.5倍に

(写真=Beer Wanchana/Shutterstock.com)
(写真=Beer Wanchana/Shutterstock.com)

マンション経営の主な収益は家賃収入によるものですから、その下落率や相場は気になるところです。それだけではなく、価格相場も最終的な収支に大きく影響します。安いときに買えばその分結果的に利回りは上がりますし、高いときに売れば売却益が得られるかもしれません。

区分所有マンションの価格は、近年上昇傾向にあります。国土交通省の「不動産価格指数」によると、2010年平均を100とした区分所有マンションの価格指数は、2019年5月の時点で南関東圏が140.7、名古屋圏が159.5、京阪神圏が152.8となっています。

名古屋のマンション価格は9年足らずで1.6倍にもなっているのです。これに対して、家賃下落の影響は微々たるものといえます。毎年0.8%ずつ下がっていったとしても、9年間の下落率は7%程度です。

マンション経営は早く始めるほど投資効果が高い

2010年頃に名古屋市や大阪市でマンションを買った人は、資産を大きく増やしていることでしょう。上昇相場においては、早く参加した人が得をします。

一方、価格が下落傾向や横ばいの状況ではマンション経営を始めないほうが良いのかというと、そんなことはありません。マンション経営は基本的に長期戦です。需要の絶えないエリアで所有し続けていれば、いずれ家賃収入の累積が投資額を上回るでしょう。

それまでに相場が回復すれば売却のチャンスもあるかもしれません。マンション経営は早く始めた人ほど有利と言えます。

長期的に考えると家賃下落リスクは小さい

家賃の年間下落率は平均的に見て0.8%前後です。価格の変動率に比べると決して大きくはありません。また最近では、三大都市圏などで賃料相場の上昇が見られます。リスクとは不確実性という意味であり、上がる可能性も含んでいるのです。

家賃は継続的に発生するため、長期的な取り組みが功を奏するでしょう。物件の保有が長期にわたれば、上昇相場で売却するチャンスも増えます。家賃下落のリスクを大げさにとらえて二の足を踏むよりも、早く始めたほうが成功する可能性は高いのです。


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