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マンションを買ったけれど登録免許税はいくらかかる?計算方法を解説

マンションを購入するときには様々な費用がかかりますが、そのひとつに登録免許税があります。所得税や相続税と違って耳慣れない言葉だと思われる方もいるかもしれませんが、そもそも登録免許税とは何でしょうか。本記事では登録免許税とは何か、どのような場合にかかってくるかなどの基礎知識から、登録免許税を軽減する方法や計算シミュレーションまで解説していきます。

登録免許税とは

不動産を購入したとき課税される

登録免許税とは、国に登記や登録を申請するときに支払う税金です。土地やマンションなどの不動産には、その不動産が誰のものなのかを国に登録する制度(登記制度)があります。一般に「土地の名義」「建物の名義」と呼ばれているものです。

不動産を購入しても、登記を自分名義にしておかないと第三者に所有権を主張することができないことになっています(民法177条)。そのため、新築マンションや中古マンションを購入した場合は自分の名義で登記をし、登録免許税を支払わなければなりません。マンションを現金で購入する場合は名義替え(所有権移転)の分のみですが、ローンを組んでマンションに担保(抵当権)を設定する場合は抵当権設定登記をしなければならず、その分も登録免許税がかかってきます。

中古マンションを買うときは、決済とよばれる手続きが行われることが一般的です。これはマンションの売主と買主が集まり、売主がマンションの権利証など名義替えに必要な書類を引き渡し、買主が売主にマンションの代金を支払うとともに司法書士に登録免許税分の現金を預けるものです。その後、司法書士が登記の手続きと登録免許税納付の手続きを行います。つまり、登録免許税は名義替えのときに支払う必要があり、確定申告で登録免許税を納めるわけではないので注意してください。登記手続きは高度の専門知識を要するため、売主や買主が自分で行うことは現実的ではありません。このためマンション購入の場合は登記手続きと登録免許税の納付は司法書士に依頼するのが一般的です。

出典:財務省「登録免許税に関する資料

法定の税率

法定の税率

税率は法律で定められています。

国税庁「登録免許税の税額表

登録免許税は以下の計算式で求めることができます。

登録免許税=「課税標準額」×「税率」

税額は、土地・建物の課税標準額(固定資産税課税標準額)に税率をかけて計算します。新築マンション(所有権保存登記)の場合、課税標準額は不動産の価額、税率は1000分の4(0.4%)です。中古マンションの名義替え(所有権移転登記)の場合の課税標準額は、不動産の価額の税率は2%です。そして住宅ローンの借り入れ(抵当権設定登記)の場合、課税標準額は債権額の税率は0.4%です。

ただし注意しなければならないのは、課税標準額はマンションの売買代金とは別に決まっているということです。課税標準額は市町村役場で管理している固定資産課税台帳に評価額が掲載されている場合はその価額、掲載されていない場合は登記官が認定した価額になります。課税標準額を不動産業者の判断で決めたり、売主や買主が合意によって決めたりすることはできません。

また分譲マンションの場合は、土地の分も登録免許税がかかってくることを知っておかなければなりません。マンションが分譲された場合、実は住人たちはその「部屋だけ」を買うわけではありません。マンションが建っている土地を住人たちが共同で所有していることになります。つまり、マンションを購入する場合はそのマンションが建っている土地も一部購入していることになるため、自分が購入した分については登録免許税を支払う必要があります。土地のどれだけの割合を購入することになるかは、そのマンションの登記簿(登記事項証明書)で確認することができます。登記簿は一般に公開されているため、法務局で手数料を払えば確認することが可能です。

出典:財務省「登録免許税に関する資料
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表
出典:法務局「登録免許税の計算

登録免許税の軽減措置

軽減措置の内容

マンションを購入した場合に必ず負担しなければならない登録免許税ですが、不動産取引を促進するなどの政策目的で国が軽減措置を設けており、一定の条件を満たした場合に登録免許税が軽減されることがあります。軽減の条件を満たす場合は軽減を受けることで資金に余裕を持たせることができますから、しっかり条件を確認していきましょう。

軽減措置を受けられる条件

土地の登記については税率を2%から1.5%に軽減する措置が期間限定で設けられています。この措置は以前からとられていましたが延長が決まり、令和5年3月31日までに名義替えをした場合に適用されることになりました。つまり、令和5年3月31日までに名義替えをすれば、税率は2%ではなく1.5%と考えてかまいません。ただしこれは土地についての軽減措置ですから、マンションの部屋についての登録免許税は原則として税率2%になります。注意してください。

では、部屋の分の軽減措置はあるのでしょうか。個人が自分の居住用に一定の条件を満たすマンションを購入した場合、市町村長の証明書を取得することで登録免許税を減額することができます。新築マンションの場合、所有権保存登記であれば税率を0.4%から0.15%、中古マンションや建築後使用されたことのない住宅用家屋等の場合、所有権移転登記であれば税率は2%から0.3%に軽減されます。になります。また長期優良住宅など、特定の条件を満たすことでさらに登録免許税が軽減される制度もあります。自分の居住用ではないなど軽減の条件を満たさない場合は原則通りの税率となります。

なお、居住用マンションの条件を満たす場合、住宅ローン借り入れの際の抵当権設定登記軽減を受けると、税率が0.1%に引き下げられます。

出典:財務省「令和3年度税制改正の大綱
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

具体的な金額は?

それでは、具体的にどのように登録免許税の計算をするのか例を示します。まず前提として、課税標準額に1000円未満の数字があるときは1000円未満を切り捨てます。そしてそれに税率をかけて出てきた税額に100円未満の数字があるときは100円未満を切り捨てます(
国税通則法第118条第1項)。なおここで示すのは一例であり、マンションの登記内容によって計算方法は変わってきます。司法書士などの専門家にご相談になることをおすすめします。

新築マンションの計算例

次のような条件で計算してみましょう。

土地の価格(購入分)1,000万円
建物の価格2,500万円
抵当権の債権額3000万円
軽減措置の適用建物について自己居住用の登録免許税軽減措置を受ける

(土地について)1000万円×15/1000=15万円

(建物について)2,500万円×1.5/1000=37,500円

(抵当権について)3,000万円×1/1000=3万円

合計 21万7,500円

中古マンションの計算例

次の条件で計算します。

土地の価格(購入分)1,000万円
建物の価格700万円
抵当権の債権額なし
軽減措置の適用なし

(土地について)1000万円×15/1000=15万円

(建物について)700万円×20/1000=14万円

合計 29万円

登録免許税はふだんあまり耳にしない税金ですが、不動産を購入する場合には間違いなく必要となる知識です。忘れずに資金計画に反映させるとともに、軽減措置が受けられるかどうかを必ず確認するようにしましょう。

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