大手損害保険会社が、マンション保険を見直し始めています。中古物件の増加とともに水漏れなどの補修対象が顕著になってきたためで、補修が多いマンションは最大5割の値上げになる一方、補修の少ないマンションは2割程度安くなるようです。
もちろん保険料だけではなく、中古マンションには見えないコストが隠れています。本記事では、中古マンションの購入判断にあたって注意すべきコストについて解説します。
数も多く割安感も高い中古マンション
三大都市圏や地方大都市を中心に販売価格が高止まりし、やや過熱気味に見える新築マンション市場ですが、供給戸数自体はここ数年、10万戸を切っています。
こうした状況には、メジャー7(住友不動産株式会社・東急不動産株式会社・株式会社大京穴吹不動産・東京建物株式会社・三菱地所レジデンス株式会社・三井不動産レジデンシャル株式会社・野村不動産株式会社)と呼ばれる大手デベロッパーがマーケットの半分近くを押さえ、値崩れしないように分譲を絞り込んでいることも影響しています。こうした大手デベロッパーは財務状況も良く、マンションを売り急ぐ必要がないためです。
一方で、リーマン・ショック前の供給戸数は倍近い20万戸前後で推移してきました。そうした背景もあって、最近のマンション市場では新築物件に代わり、数も多く割安感も高い中古物件に注目が集まっているのです。
では、中古物件は本当に「お買い得」なのでしょうか? ここで、つい見落としがちなのが中古物件特有の維持コストです。
保険会社もマンション保険を値上げ
保険会社は、マンションの管理会社や管理組合向けに、共用部分(水道・電気等のユーティリティーや駐車場など)について、火災だけでなく水漏れや配電盤故障、ベランダの破損など、さまざまな事故を幅広くカバーする保険を用意しています。この保険のニーズは高く、マンションの大部分が加入しているとされます。
最近では、東京海上日動火災保険株式会社、三井住友海上火災保険株式会社といった大手損害保険会社が、事故・修理の頻度を反映させる保険料金体系に見直しました。新たな保険制度では、例えば100室マンションの場合、過去2年間に補修が10件以上生じると25%、15件以上であれば50%値上げされます。その一方で、2件以内の場合は20%引き下げられます。
保険料は管理組合が支払いますが、やがて入居者に転嫁されます。その負担差は、マンションによって月に4,000円から6,000円ほど変わってきます。
この背景にあるのは、築年数が古いマンションの増加です。マンションストックに占める築15年以上の割合は、10年前までは半分以下でしたが、今では65%となっており、今後もますます増えていくと予測されています。
事故が頻発するのは、築年数も関係していますが、定期的な保全を怠っていることが原因といえます。こうした物件は、年数の経過とともに水道管の破裂や外壁のひびなどといったリスクが高まります。
機械式駐車場には要注意
共用設備の利用率にも、注意しなければなりません。機械式駐車場は、平置きに比べて維持費用が高い上に、カーシェアの浸透や車を持たない世代の増加により、駐車場の空きが増える傾向にあります。駐車場収入を管理費に流用しているケースでは、駐車場利用率の低下が入居者全体に影響を及ぼします。
築古では快適な暮らしが維持できないケースも
料金の追加負担でだけ済めばまだいい方で、築年数が40年以上たっているマンションでは雨漏りするようなケースもあるようです。積立金が不足し、長期間にわたり防水や外壁の修繕を怠ってきた結果、建物が劣化してしまうためです。
さらにひどいケースでは、マンション管理が機能していない物件も珍しくありません。管理を不動産会社に任せ切りにしておいたら積立金が消えていた、あるいは修繕どころか清掃や外構工事も放置され、ゴミも散乱しているなどという事例もあります。
いかがでしたでしょうか。マンション購入にあたっては、新築・中古どちらがお買い得ということではなく、維持コストを念頭に入れてマンションの管理状況を踏まえた上で、総合的に判断することが大切です。
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