
中古マンションに限らず、不動産を購入する際には「手付金」が発生しますが、不動産の種類により手付金の相場は異なります。そこで今回は中古マンションの手付金の相場や、そもそも手付金とは何かについて解説します。
手付金とは
不動産における「手付金」とは、不動産を購入する際の契約時に買主が売主に支払う金銭のことです。手付には種類があり、それぞれに意味合いが異なります。
手付金の金額は、売主と買主で話し合い決定します。中古マンションの手付金の相場は、宅地建物取引業法の規定を目安にして、物件価格の10%前後が一般的です。宅地建物取引業法では完成物件の場合、手付金が物件価格の10%を越えると第三者に保管させる等の方法で手付金保全措置を講じる必要があります(宅地建物取引業法第41条)。
不動産会社を介して売買を行う場合には、宅地建物取引業法が適用されるため、物件価格の20%までという上限が設けられます(物件価格の10%かつ1,000万円以下なら不要。)(宅地建物取引業法第39条第1項)。手付金は、契約成立時に現金で支払うのが一般的です。
出典:公益社団法人 不動産保証協会「手付金とは」
手付金には種類がある
手付金には複数の種類があり、それぞれに持つ意味が異なります。その中でも一般的なのが、証約手付金・解約手付金・違約手付金の3種類です。
「証約手付金」とは、残代金の支払いや引き渡しが行われるまでの一定期間において、不動産の売買が成立したことの証明となる手付金のことです。証約手付金を支払うことで、契約の成立や信頼性、双方の不動産に対する権利や平等性を保障する意味合いがあります。
「解約手付金」とは、売買契約の解約の権利を証明する手付金のことです。買主の場合には、手付金を放棄することで、不動産の売買契約を解除できます。一方の売主が売買契約を解除したい場合には、買主が支払った解約手付金の倍額を返還しなくてはなりません(民法第557条第1項)。
「違約手付金」とは、不動産を売買契約するにあたり、債務不履行が発生した際に支払われる手付金のことです。買主側が債務不履行した場合には手付金が全額売主に回収され、売主側が債務不履行した場合には、手付金の倍額を支払う必要があります。
頭金との違い
手付金と頭金は同じと思っている人もいますが、これらは全く違います。
「頭金」とは、物件価格のうち住宅ローンを借りずに自己資産で支払う金額のことです。住宅ローンを組む際、一部を頭金として契約時に支払っておくことで、ローンの返済額を軽減できます。例えば3,000万円の中古マンションを購入した場合、頭金として500万円を支払っておくことで、住宅ローン部分は2,500万円になります。
どちらも契約時に現金で支払うため同じと思われがちですが、手付金と頭金は意味が大きく違うため、それぞれの意味を正しく理解しておきましょう。
手付金の扱い

手付金は売買契約時に、契約成立の保証として支払いますが、決済時には頭金として処理します。またさまざまな理由で、一度支払った手付金が返金される場合があります。このような手付金の扱いについて、詳しく解説します。
頭金に充当
前述の通り、手付金と頭金は違います。しかし「手付金」として支払ったお金は、決済時には「頭金」として処理される場合があります。例えば3,000万円の中古マンションを購入し、手付金として500万円を支払った場合、この手付金として支払った500万円は決済時に頭金としてカウントをし、残額の2,500万円を住宅ローンで支払う形になります。500万円の手付金を支払っており、決済時に頭金に充当する場合も、さらに上乗せして頭金を支払うことも可能です。
契約締結にならず返金
そもそも手付金は、不動産の売買契約の成立を証明するお金です。しかし契約が解除されたとしても、手付金が返金されるケースと、返金されないケースがあります。契約が締結せず手付金が返金されるのは、売主に過失があった場合と、売買契約時の条件にローン特約が入っていた場合です。
まず売主に過失があった場合とは、売主側の都合で手付を解除した場合や、売主に契約不履行があった場合です。契約不履行は、売主がなかなか引っ越しをしなかったり、手付解除期間を過ぎているにもかかわらず売主側が契約解除を求めてきた場合のことです。
このように売主側の都合で契約が解除された場合には、手付金が返金されます。
また、「ローンの審査に落ちて購入できなくなった」など、買主側の都合により契約を解除した場合には、ローン特約に入っていれば手付金は返還されます。「ローン特約」とは、「ローンが借りられなかった場合は、買主側のペナルティ無しで契約を解除できる」という、買主保護を目的とした特約です。契約書には「融資利用の特約」と記載されます。ローン特約の注意点として、契約書記載の期限内に適用されるため、期限を過ぎると手付金は返金されません。ローンの審査に通らないと分かった段階で、契約解除の連絡をしてください。ローン特約を入る場合には、期限や条件をしっかりと確認しておきましょう。
参考:三井トラフト不動産「ローン特約について」
買主の契約違反による手付金の放棄
買主側が契約違反を行なった場合には、手付金は返金されません。契約違反にあたる主な行為は、住宅ローンの審査を速やかに行わなかったり、意図的に住宅ローンの審査に落ちたりなどです。買主側が契約違反をした場合には、「手付金の放棄」という形で契約が解除され、手付金の返金もありません。
手付金の注意事項
このように、さまざまな種類があったり、契約解除に伴う返金の有無が変わるなど、手付金は複雑なものです。そのため手付金について正しく理解し、契約時には契約内容をしっかりと確認しておくことが大切です。最後に、手付金について特に注意すべき点を2つご紹介します。
支払いは現金が主流
手付金の支払いは現金が主流です。そのため契約日までに手付金を現金で準備しておき、契約時に持参しなければなりません。例外として売主が銀行振込を了承した場合には、契約時に現金で支払う必要はありません。契約日までに現金を準備することができないという場合には、売主に銀行振込の可否を相談してみましょう。なお、購入する不動産が住宅ローンの担保となるため、手付金はローンを組むことはできません。どうしても手付金が足りないという場合には、売主に減額交渉をします。
手付金の中古マンションでの相場
手付金は売主と買主で話し合い、双方が納得した上で決定します。前述の通り現金払いが原則のため、資金を確認して慎重に話し合いを行いましょう。不動産業者を仲介して不動産を購入する場合には、「手付金は物件価格の20%まで」という上限があります。中古マンションを契約し、手付金をなるべく多く支払いたいと考えている場合には、注意が必要です。
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