一口に「不動産投資」と言っても、投資対象となる不動産物件には様々なものがあります。例えば、同じマンション投資でも、新築と中古、土地つき一棟モノと区分所有では違いがあります。では、不動産投資初心者はどれを選ぶべきなのでしょうか。
初心者には 「区分所有>一棟モノ」「中古>新築」
総じてどちらの括りにもメリット・デメリットがあります。
結論から言えば、不動産投資初心者には「区分所有>一棟モノ」「中古>新築」と言えるでしょう。「流動性が高い(入居者が見つかりやすい)」など比較的リスクが低く、「投資金額が少なくできる」「割安」などによって手が出しやすいからです。
もちろん、中古の場合は物件によってコンディションは千差万別です。いくら安くても、築後何十年も経ち設備も老朽化していたり、駅から遠かったりすれば、人気がなく入居者はなかなか決まらないでしょう。修繕費もかさみがちです。物件としての評価が下がるため、ローンが組みにくいというデメリットにも繋がります。
“築浅・好立地” と “リノベ” にメリット
一方、新築は真新しい部屋のファーストユーザーになれること、最新の設備をそなえるといったプレミアムさによる人気があります。物件の評価が高いので、家賃収入が期待できればローンも組みやすくなるメリットがあります。
しかしながら、新築としての価値は最初の入居者だけ。2人目からは中古です。建物としては、新築時点からの経年劣化による価値の下落幅が大きいのです。その点、最初からある程度経年劣化した状態の中古物件を購入すれば、その後の下落率は少なくて済みます。
築5~10年といった比較的“築浅”で、かつ駅近という好立地の中古物件ならば、賃料が新築とさして変わらず入居者が絶えないものが少なくありません。また、築数十年経過している建物でも、最新のリノベーションが施されている場合は別です。多くの場合、内装はもちろん配管や設備まで新築同様のレベルに改修され、デザイン性も高いことが特長です。特にライフスタイルにこだわりを持つ若年層に人気があります。
しかも、中古物件は初期購入費用を新築よりも抑えることが可能です。こうした物件を丹念に探して投資対象にすべきといえるでしょう。
“中古ワンルーム4部屋” のほうがより低リスク
次に、気になるリスクについて、同じ8,000万円を投資するとして「1室2,000万円の中古のワンルームマンション4部屋」と、「8,000万円の新築タワーマンション上層階の1室」を比較して考察してみます。家賃は、中古ワンルームは10万円×4、新築タワマンは40万円と仮定します。
ズバリ、「中古ワンルーム4部屋」のほうがより低リスクです。以下、その理由を説明していきます。
中古ワンルームは明らかに単身者用の物件で、永住ではなく学生時代の4年間とか、新卒での就職後結婚までの期間といった一時的な居住に向いています。したがって、入居者の検討期間は短く空室になっても次の入居者が見つかる回転率が速いという特性があります。
これに対し、8,000万円の新築タワマンの場合、立地にもよりますが間取りは3LDKが中心で、多くが長期間のファミリーでの居住用。賃貸入居者が見つかるまで時間がかかりがちです。つまり、空室リスクが発生する確率が比較的高いのです。かつ、武蔵小杉のタワーマンションで発生したような水害などのリスクも、4物件に分散される効果が期待できます。
新築タワマンの節税効果
一方、新築タワマンにもメリットはあります。特に上層階の場合の節税効果です。
不動産の評価は「土地」と「建物」に分けて行われ、税金もそれに従って決められています。土地は、実際の売買価格(時価)の80%程度の「路線価」で評価されます。一方、建物は実際に要した建築費の40~60%程度で評価されるのです。つまり、土地の20%、建物の40~60%は“割引”される形。したがって、現金資産はマンションや戸建て住宅、アパートなどに変えただけで節税効果が得られるのです。
マンションは高層階になるほど販売価格が高くなる傾向がありますが、評価額は低層階と変わりません。このため、新築タワマン高層階の“割引”率は高くなります。
但し、2017年度の税制改正前に購入した物件まで。この改正で、評価額の差を補正するためか固定資産税が高層階であるほど高くなる制度に変わりました。具体的には、高さ60m超のマンションで1階上がるごとに、税金も約0.25%ずつ連動して増加されるしくみとなったのです。
維持費も考慮する必要
マンションの場合は、修繕積立金や管理費などの維持費も考慮する必要があります。一般的なマンションより、高さ60m超のタワーマンションは管理費が20~30%増、修繕積立金は最大50%増と割高となる傾向があります。それだけ設備が充実していることの裏返しといえます。
さらに、不動産投資における資産価値を考える上では、需給の状況もチェックしておく必要があります。物件が集積しているエリアでは「供給過剰」となって入居者が決まりづらくなるからです。タワマンの集積地には、交通の便がよく商業施設なども整って高い人気を誇るエリアもありますが、タワマンが1棟建つと最寄り駅の通勤ラッシュが激化するといったマイナス要因も。こうした諸条件をできるだけ抽出して総合的に検討することが大切といえるでしょう。
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