
不動産投資を検討する人の中には、「人口減少社会に突入している日本の場合、不動産は将来有望なのか?」と疑問を持つ人も多いでしょう。増え続ける空き家が社会問題になっているとおり、人口減少が即ち不動産ニーズの減少と捉えられても無理はありません。
しかしながら、それは一面の問題であり、市場環境をつぶさにみれば別の一面も見えてくるものです。ここでは、人口だけでなく“単身世帯数”にも着目してみます。
世帯数は人口ほど減らない
日本の総人口は、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じ、2021年1月の推計では1億2,557万人となっています(総務省統計局「人口推計」)。これが、2040年には1億1,092万人まで減少すると予測されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2017年推計)中位予測」)。20年弱で11.7%の減少率です。確かに日本は人口減少社会が進展しています。
一方、世帯数に注目してみます。世帯には、大きく「一般世帯」と、寮や病院・療養所、社会施設などの「施設等の世帯」に分かれます。一般世帯は、さらに「単独世帯」「親族のみの世帯」などに分かれます。親族のみの世帯は、さらに「核家族世帯」と「核家族以外の世帯」に細分化されます。
総人口は2008年がピークでしたが、一般世帯総数のピークはというと、図1のとおり2023年の5,419万世帯と予測されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2018年推計」)。なぜならば、図2のとおり平均世帯人員数(一世帯あたりの人数)の減少が進んでいることで、世帯数が減少に転じるのは15年遅行するからです。つまり、“核家族化”“単身世帯化”が進展していることで、世帯数そのものは人口ほど減少しないということになります。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2018年推計」
http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/t-page.asp
単独世帯数のピークは2035年頃
ここで、種類別の世帯数がどう推移していくのかを見てみます。図3をご覧ください。
一般世帯総数は2023年のピークから減少傾向にあり、その内訳である夫婦と子からなるファミリー(核家族)世帯は1990年代から減少が始まっているのに対し、単独世帯は2035年頃がピークとなっています。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2018年推計」
http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/t-page.asp
下図のとおり、単独世帯数が占める割合は、将来にわたって増加し続けると推計されているのです。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2018年推計」より作成
http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2018/t-page.asp
単独世帯が増加する理由として考えられているのは、高齢化に伴い夫と死別する高齢女性の増加や、晩婚化・生涯未婚率の高まり、離婚率の上昇、在留外国人の増加などが挙げられています。
ワンルームの需要は増え続ける
不動産投資において“世帯数”に着目すべきなのは、住まいとなる不動産物件は、世帯ごとに購入もしくは賃借することが基本だからです。祖父母+子供夫婦+孫2人の計6人による大家族1世帯も、夫婦+子供1人の計3人による核家族1世帯も、単身者による1世帯も、不動産物件数の上では同等といえます。
では、世帯の種類によって持ち家と借家の比率はどういった状況になっているでしょうか。
単身世帯の賃家に住む割合(全国)

出典:総務省統計局「H30年在宅・土地統計調査」より作成
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html
図のとおり、単独世帯は借家の比率が大きいことがわかります。単独世帯が賃借する不動産物件としては、単身者用のマンションかアパートが最も多いと考えられるでしょう。先に、単独世帯数は2035年まで増え続けることを示しました。つまり、ワンルーム賃貸マンションなど単独世帯向け不動産物件の需要は、当面の間増え続けると予測できます。
冒頭で、「人口減少社会に突入している日本の場合、不動産投資は将来有望なのか?」という疑問について触れました。これまで解き明かしてきたとおり、ワンルームマンションを賃借に回す投資においては、基本的にここしばらくは有望であるといえるでしょう。但し、同じワンルームマンションであっても、立地や建物の状態によって千差万別であるので一概にはいえません。この『ユズサチマガジン』などを参考に、最適な物件選びをすることが肝要です。
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