
不動産投資における利益には、毎月の賃料からなる「インカムゲイン」と、売却時に得られる購入額との差額を指す「キャピタルゲイン」の2つがあります。株式投資における配当や株主優待、売却益と同様です。
投資先の選定において不可欠な判断基準の一つに、どれぐらいの利益をもたらすかという“利回り”が挙げられます。そこで、ここでは近畿圏の中古マンションのインカムゲインにおける利回り状況について、様々な角度から見ていきます。
家賃相場・賃貸住宅の期待利回りの推移
その前に、まずは不動産投資利回りの大きな要因となる家賃相場の推移について押さえておきましょう。下の図をご覧ください。

出典:総務省統計局 2020年基準消費者物価指数より作成
https://www.stat.go.jp/data/cpi/
バブル崩壊後に急速にデフレとなり、それが定着した2000年以降は長らくマイナスが続いていますが、生鮮食料品を除いた物価と比べると、極めて安定的であることが分かります。
では、賃貸住宅の期待利回りはどういった状況でしょうか。下の図をご覧ください。
賃貸住宅の期待利回り状況


日本不動産研究所「不動産投資家調査」より作成
https://www.reinet.or.jp/?page_id=172
「期待利回り」とは、「購入後に期待される家賃年収÷不動産価格×100」で求められる値のこと。サブプライムローン問題に続いてリーマン・ショックが発生し、世界金融危機に陥った2008年から急上昇後、2010年からの低下傾向が全国的に続いています。大阪のワンルームマンションは、2020年では5%弱という状況です。ここで注目すべきことの一つは、東京に比べて大阪のほうが高い状態を維持していることでしょう。
近畿圏における中古マンションの利回り状況
2013年に安倍政権は“アベノミクス”を打ち出し、日本銀行は2%のインフレ目標を掲げて“黒田バズーカ”と呼ばれる“異次元の金融緩和”政策を取り始めました。これによって物件価格が上昇し、相対的に賃料の利回りが低下し始めることになったのです。そこで、2013年以降の近畿圏における中古マンションの利回り状況をエリア別に見てみます。

出典:近畿レインズ 季刊市況レポート
http://www.kinkireins.or.jp/rte/No.54.pdf
左のグラフでは、近畿圏の中でも神戸市が大阪市や京都市から2%程度高い状態を維持していること、右のグラフでは同じマンションでも30~50㎡未満のワンルームなど単身者向きの物件のほうが、収益性をさほど意識しない広めのファミリー向け居住用物件よりも高利率を維持していることがわかります。
ここで、“右肩下がり”の利回りに「不動産投資は不利なのでは?」と感じた人がいるかもしれません。しかし、ここで見ているのは“賃貸利回り”、つまりインカムゲインです。冒頭で、不動産投資には“キャピタルゲイン”もあると触れました。下の図をご覧ください。

出典:近畿レインズ №101 2021年5月号 マンスリーレポート
http://www.kinkireins.or.jp/monthlyreport/digest/202105.pdf
近畿圏の中古マンションの成約状況は、物件数・価格水準とも“右肩上がり”のトレンドにあります。つまり“キャピタルゲイン”ではますます有利になっているのです。賃貸利回りが下がっていると言っても5~6%というレベルにあり、他の金融商品と比べてみれば一定の高さがあると言えるでしょう。それに加えてキャピタルゲインが得られることを考慮する必要があると言えます。
築年帯別・部屋タイプ別表面利回り
次に、さらに細かい地区ごとに表面利回りを築年帯別や部屋タイプ別に見てみます。表面利回りとは、「年間賃料収入÷物件価格×100」で求められる値です。下は2018年度のデータです。

出典:近畿レインズ 2018年度年刊市況レポート
http://www.kinkireins.or.jp/trend/
京都市内の比較では、最低の中京区から最高の西京区まで5.7%もの差があります。大阪市では、同じく浪速区から西成区までの4.1%の差で、神戸市は中央区から北区まで6.4%と大きな差があります。
築年帯別では、近畿圏全体で見ると築31年以上の古い物件が高く、築年帯が浅くなるに従って低くなっていることがわかります。この傾向は、築年帯が古くなるごとの物件価格の低下率より、賃料の下落率のほうが小さいことを示しています。
部屋タイプ別では、同じくワンルームが最も高利率で、次の1K~1LDKより1.4%高くなっています。
“神戸市の築深ワンルーム”が高利率
以上を整理すると、近畿圏における都市別では“神戸市>大阪市・京都市”、築年帯では“築深>築浅”、部屋タイプでは“単身者向けワンルーム>ファミリー向け2~3部屋”のほうが高利率と言えます。
もちろん、賃貸物件の最重要の価値要素である立地や、建物の状況、周辺環境などによって差が生じます。それらを総合的に勘案し、投資物件を決めることが大切です。
引用:近畿レインズ http://www.kinkireins.or.jp/trend/
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